佳景探訪
JR横須賀線田浦駅
JR横須賀線の田浦駅はトンネルとトンネルに挟まれてホームが短く、停車した電車の一部車両のドアが開かないという珍しい駅だ。冬の寒さも和らいだ二月下旬、田浦駅を訪ねた。



JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅
JR横須賀線の田浦駅は鉄道マニアにはよく知られた駅である。駅の両側にトンネルが間近に迫り、そのためにホームが短く、11両編成の電車ではホームに止まりきれず、一部車両のドアが開かない(トンネルの中)という状況が発生する。全国的に見ても珍しい駅なのだ。

この辺りは三浦丘陵から海側にへと尾根が幾筋も延び出てきており、鉄道も国道16号も、その尾根筋にトンネルと穿って通されている。田浦駅はそうした尾根と尾根とに挟まれた立地、すなわち谷戸地に設けられており、その尾根と尾根との間が約200mしかない。そこに駅があり、ホームが設けられている。ホームの端は西側も東側も尾根の崖面だ。結果、ホームは200mの長さしか無く、現在の11両編成の電車はホームに収まりきれないという状況になってしまうわけだ。

JR横須賀線が開業したのは1889年(明治22年)のことだ。軍港を抱える横須賀との人員や物資の輸送のため、軍からの要請もあって工事が急がれたようである。その横須賀線に田浦駅が設けられたのが1904年(明治37年)のことである。当時の鉄道事情ではこうした駅構造でも特に問題は無かったのだろう。

田浦駅のホーム西側(上り方面側)で尾根を穿つのが田浦トンネルである。二つ並ぶトンネルののうち、下り線のトンネル(ホームから向かって右側)は1889年(明治22年)、横須賀線の敷設に伴って当時の工部省鉄道局によって建設されたものだ。当初はすべてレンガ造りだったそうだが、1925年(大正14年)の電化工事の際に側壁部の大部分がコンクリート造りに改築されている。上り線のトンネル(ホームから向かって左側)は1924年(大正13年)の複線化工事の際に建設されたものだ。レンガで覆われたトンネルの入口や、馬蹄形の断面形状が往時を偲ばせる。

ホーム東側(下り方面側)のトンネルが七釜トンネルだ。明治、大正、昭和と建築年代の違う三つのトンネルが並び、鉄道マニアには人気だという。真ん中のトンネル(下り線のトンネル)は1889年(明治22年)の横須賀線の敷設の際に工部省鉄道局によって建設されたもの、その右側のトンネル(上り線のトンネル)は1924年(大正13年)の複線化工事の際に建設されたもの、左側のトンネルは戦時中の1943年(昭和18年)に、海軍の要請で造られた軍需輸送専用の引込み線だが、現在は廃線となっている。このトンネルだけがコンクリート造りだ。二つの馬蹄形のトンネルが並ぶ横に円形形状の新しいトンネルが並び、見るだけで造られた年代が違うことがわかる。鉄道マニアならぜひ見ておきたいものだろう。

田浦駅の設けられた谷戸地は、昔は人家もほとんど無く、“鎌を失う”ほどに草が生い茂っていたために「失鎌」の地名で呼ばれていたそうだが、蒸気機関車を通すのに“釜を失う”に通じる地名では良くないというので、同じ発音の「七釜」の字を充ててトンネルの名にしたと伝えられているそうである。

明治、大正、昭和のトンネルを見ることのできる田浦駅、鉄道マニアなら一度は訪ねておきたい駅だろう。




JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅

JR横須賀線田浦駅
JR田浦駅から南へ辿れば100mほどで国道16号の内回り車線に出る。さらに100m近く進めば国道16号の外回り車線だ。この辺りでは国道16号は内回りと外回りで別の道路のように離れて通されている。それだけ道路を通すのが難しい地形だったということだろう。国道16号を横切ってさらに進むと、狭い谷戸地に家々の並ぶ田浦町の町並みである。

100mほど奥へ進んだところに興味深い場所がある。道路が「の」字を描いて、すなわちループを描いて丘へと登っている。急斜面を上ってゆくための工夫だ。地形や目的の関係から“つづら折り”のような形状より、ループ状の構造にした方が良かったのだろう。山間地ではいわゆる“ループ橋”などを設ける例はあるが、こうした住宅地にループ形状の道路が通されているのは珍しいのではないか。

そもそもは戦前に丘の上に砲台を築き、そのための物資を運び上げるために造られた道だそうである。当初は陸橋も木製だったという。ループの直径は約40m、中は田浦1丁目公園という児童公園になっている。

上っていった先は旧浦賀道の十三峠、北には東京湾を見下ろし、南は京急の線路の向こうに「田浦梅の里」の丘が横たわっている。なかなかの眺望である。

地元の人たちが「のの字坂」と呼ぶ、ループ構造の道、道路マニアなら必見である。
参考情報
交通

JR横須賀線は鎌倉市の大船駅と横須賀市の久里浜駅とを結んでいる。田浦駅は横須賀駅の一駅手前、大船駅から14kmほどだ。乗車時間は20分強といったところだ。その他、詳細はJR東日本のサイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)などを参照されたい。

JR田浦駅は京急本線の「京急田浦」駅からは1.5km超、「安針塚」駅からも1km超の距離がある。注意されたい。

JR田浦駅周辺には時間貸し駐車場はほとんど無い。車で来訪する場合は横須賀市中心市街に車を駐め、横須賀駅から電車に乗ることをお勧めする。

飲食

JR田浦駅近辺には飲食店はほとんど無い。横須賀市街地中心部へ移動するのが賢明だ。

周辺

JR田浦駅は「田浦梅の里」の最寄り駅だ。東京湾を見下ろす丘の上に2000本の梅が植えられている。丘上からの眺望は素晴らしく、梅の花の季節以外でも楽しめる。駅から南へ、1kmほどで「田浦梅の里」入口に着く。

JR横須賀線に乗って一駅、お隣は横須賀駅だ。駅のすぐ近くにはヴェルニー公園が設けられている。横須賀港に面した臨海公園で、間近に米海軍や海上自衛隊の艦船の姿を見ることができる。ヴェルニー公園はバラの有名な公園で、バラの花期は特にお勧めだ。

横須賀駅から少し歩けば横須賀市街中心部、どぶ板通りを歩いてみたり、三笠公園などへと散策の足を延ばしてみるのも楽しい。
JR横須賀線田浦駅

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