佳景探訪
曼珠沙華の里「巾着田」
埼玉県日高市の南西部に「巾着田」と呼ばれる場所がある。高麗川が大きく南へ蛇行し、その湾曲した流れの描く形状が「巾着」を思わせることから、その名で呼ばれるようになったものという。「巾着田」は彼岸花の群生地として知られ、九月下旬の花期には多くの観賞客が訪れる。その「巾着田」を訪ねた。



曼珠沙華の里「巾着田」

曼珠沙華の里「巾着田」

曼珠沙華の里「巾着田」

曼珠沙華の里「巾着田」

曼珠沙華の里「巾着田」
「巾着田」を囲む高麗川の流れはほぼ円形を成し、その直径はおよそ500メートル、囲まれた「巾着田」の面積は17ヘクタールほどという。北側の“巾着の口”に当たる部分にはその口を締める紐のように県道15号線(川越日高線)が東西に抜ける。彼岸花の群生地は「巾着田」の南側と西側の河畔にあり、南側が早咲き、西側が遅咲きのゾーンになっている。

今回訪れたのは2007年9月22日土曜日、23日と24日が連休になっており、行楽客も多いのではないかと思われた。予め公式サイトで確認すると「巾着田」の彼岸花はまだまだ咲き始めたばかりのようだったが、そろそろ早咲きの群生地の河岸では見頃を迎えているというので出かけたのだった。駐車場に車を停め、所定の入場料を支払って群生地のエリアに足を踏み入れると(彼岸花の花期には群生地への入場に入場料が必要だ)、広場に露店が並び、大勢の行楽客で賑わっていた。彼岸花の開花期に併せて「曼珠沙華祭り」が開催されているのだ。

入場料を支払った際に貰ったリーフレットに散策マップが描かれている。それを片手に「早咲き群生地」の東側から西側へと歩を進めた。林の中に彼岸花が咲き誇り、その中を縫って散策路が延びている。散策路も大勢の行楽客が行き交っている。彼岸花を眺めながらのんびりと歩く人に混じってカメラのレンズを向ける人の姿も多い。やはり少しばかり時期が早かったようでまだ満開とはいかなかったが、それでも素晴らしい景観だ。特に河岸に近い辺りが開花が進んでいるようで、場所によってはまさに真っ赤な絨毯のように群生した彼岸花が地面を埋め尽くしている。ところどころに白い花も混じっているが、ほとんどは赤い彼岸花だ。河岸の立地だから彼岸花の咲き誇る林の向こうには川面が見え隠れし、日差しを弾いて煌めく。ふと上を見上げれば青々とした木々の緑が日差しに輝いている。それらすべてのものを愉しみながらのんびりと歩こう。

「巾着田」の彼岸花は、その数は百万本ともいう。数字を挙げられてもピンとこないが、歩いても歩いても彼岸花が咲いているという印象で、その規模は予想を超えるものだった。日高市では「日本一の群生地」と謳っているが確かにそうかもしれない。これほどの規模で彼岸花が群生して咲く景観というものを他に見たことがない。まだ満開ではない状態でこれほどであれば、すべての彼岸花が咲き揃ったときの景観は想像を絶する美しさであることだろう。


曼珠沙華の里「巾着田」

曼珠沙華の里「巾着田」
のんびりと「早咲き群生地」を往復した後は、「遅咲き群生地」の横を抜けて「あいあい橋」へと歩を進めた。「遅咲き群生地」はまだほとんど開花しておらず、行楽客の姿も少ない。蛇行する高麗川の河岸に沿って進むとやがて眼前に「あいあい橋」が見えてくる。美しい意匠で高麗川を跨ぐ「あいあい橋」は木製トラス橋として日本最長級という。落ち着いた色彩の橋は周囲の緑とも調和して良い風情だ。

この日は九月下旬というのに気温は30度を超える暑い日だった。「あいあい橋」下の河原では水遊びを楽しむ子どもたちの姿があった。橋直下の淵となったところで、岸辺の大岩の上から飛び込んで遊ぶ三人組がある。小学校高学年らしい女の子たちだったが、おそらく地元の子どもたちなのだろう。岩の上から川面までけっこうな高さがあるように見えたが、躊躇なく飛び込む様子は見ていても気持ちがいい。彼女たちが飛び込むたびに橋を通りかかる行楽客から歓声が上がっていた。


曼珠沙華の里「巾着田」
「祭り」のイベントのひとつなのか、駐車場横の広場では熱気球が上がっていた。蒼く澄んだ秋空の下に浮かぶ真っ赤な気球、緑の山々とその上に浮かぶ雲の白さと、色彩のコントラストがとても美しい。「巾着田」の中の一角にはコスモス畑もあり、そろそろ咲き始めているようだった。春は桜や菜の花も美しく、夏は川遊びや河原でのバーベキューも楽しめるという。周辺には緑豊かな美しい風景が広がっており、のんびりと散策を楽しむのもよさそうだ。
参考情報
本欄の内容は巾着田関連ページ共通です
巾着田は通常期なら入場料などは必要ない。彼岸花の開花期には彼岸花群生地への入場料金が必要となる。有料期間や料金については巾着田公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

巾着田へは西武池袋線の高麗駅が近く、徒歩で15分ほどで着く。あるいはJR八高線高麗川駅からバスを利用すればよい。

車で来訪する場合は圏央道の圏央鶴ヶ島ICや狭山日高ICを利用するのが便利だ。圏央鶴ヶ島ICから国道407号線を南下、県道15号へ逸れて西進、あるいは狭山日高ICから県道262号線を北上、県道15号へ逸れて西進するルートがわかりやすい。

彼岸花の見頃の時期には巾着田周辺道路が混み合い、渋滞しがちなようだ。余裕を持って出かけることをお勧めする。

巾着田には西側河岸に来訪者用の有料駐車場が用意されており、駐車台数にも比較的余裕があるが、行楽シーズンには混み合うようだ。彼岸花の見頃の時期には臨時駐車場も設けられ、巾着田の中は一方通行などの通行制限が行われるが、要所に係員が立って誘導してくれるのでそれに従うといい。駐車料金については巾着田公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

飲食

巾着田の中には飲食店などはない。陽気の良い季節であればお弁当持参で訪れて、河原の木陰などにシートを広げてアウトドアランチを楽しむのがお薦めだ。

春から夏にかけての行楽シーズンは、駐車場脇の川原でバーベキューを楽しむ人たちも多い。直火は禁止とのことなので、バーベキュー用の道具を持参しよう。ちなみに9月から10月にかけての彼岸花開花期には河原でのバーベキューは禁止されている。

彼岸花の開花期には広場に露店が並び、地元の物産の販売の他に軽食を扱う店もあったが、本格的な食事は他に探した方が賢明だろう。

都道15号線沿いには飲食店が点在しているので、お弁当持参でない人は利用するといい。ただし彼岸花のシーズンにはそれらの店も混み合うことは必至だ。

周辺

巾着田の北側には日和田山の山裾に長閑な里山風景が広がっている。散策の足を延ばしてみるのも悪くない。少し距離があるが、聖天院や高麗神社などを訪ねてみるのもいい。
曼珠沙華の里「巾着田」

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