埼玉県日高市の巾着田は彼岸花の名所として広く知られるが、その堤防は桜並木になっている。堤防に沿って弧を描く桜並木は圧巻の景観だ。桜が見頃を迎えた四月初旬、巾着田を訪ねた。
桜咲く巾着田
桜咲く巾着田
埼玉県日高市の「巾着田」は彼岸花の群生地として知られ、花の名所として名高い。彼岸花の季節以外は訪れる人も少ないが、春の桜や初夏の紫陽花などもたいへんに美しい。特に桜は素晴らしく、堤防道に沿ったソメイヨシノの並木が圧巻の景観を見せる。

桜並木があるのは巾着田の西側、駐車場が設けられている付近から、東側は「巾着田曼珠沙華まつり」の際に会場となる広場が設けられている辺りにかけて、およそ700mの区間だ。700m続く桜並木というだけでもなかなか見応えのあるものだが、言うまでもなく巾着田の堤防は大きな弧を描いており、桜並木もその弧に沿って緩やかな曲線を描く。そのことによって桜並木はさまざまな表情を見せてくれて、その景観に飽きることがない。素晴らしい桜並木である。
桜咲く巾着田
まずはやはり堤防道を辿って桜並木の下を歩いてみたい。西側の並木は堤防道の片側だけだが、大きく枝を張った桜が堤防道を覆い、桜並木の醍醐味を味わうことができる。東側のエリアではさらに堤体下にも桜が並び、さらに美しさが増す。向かう先に視線を向けても、振り返ってみても、緩やかに弧を描く桜並木が視界の奥へと延びる。圧巻の美しさである。
桜咲く巾着田
堤防道の脇に降りて、下から見上げるように桜並木を眺める景観もいい。少し視点が変わるだけで桜並木の見せる表情が変わる。西側から南側、東側へと延びる桜並木は、場所によって日差しを受ける方向が違い、それによっても異なる表情を見せる。その表情の違いが景観のアクセントになって飽きさせない。見事な景観である。
桜咲く巾着田
巾着田の南西側のエリア、秋にはコスモス畑が設けられる場所の一角に、この季節は菜の花が植えられている。葉の花畑へと歩を進めて、葉の花越しに桜並木を眺めるのもお勧めだ。やはりソメイヨシノと菜の花の組み合わせは春の興趣を感じさせて素晴らしい。桜並木の背後に茂る木々はそろそろ芽吹きの季節だ。桜と菜の花の競演に、新緑がさらに魅力を加える。立ち位置を変えて違う方向を見てみれば、それぞれに美しい景観が楽しめて、ついつい何度もカメラを向けてしまう。
桜咲く巾着田
巾着田から北を見れば、長閑な田園風景の向こうには日和田山が横たわる。日和田山の山肌も桜色と萌黄色の競演だ。“山笑う春”である。場所によっては桜並木と菜の花畑、そして日和田山の姿のすべてが視界に収まる。見事な春景色だ。
桜咲く巾着田
桜並木の東端部は、彼岸花の季節には「巾着田曼珠沙華まつり」の会場として使われる広場だ。この広場に、まだ木は小さいながらも、ソメイヨシノとは異なる品種の桜がいろいろと植えられている。鮮やかなピンクのベニシダレも姿もある。真っ白な花を咲かせる桜もある。オオシマザクラではないようだし、シラユキでもないようだが、桜の品種に詳しくない身ではよくわからない。
桜咲く巾着田
桜咲く巾着田
巾着田の北東側には私有地もあり、散策の際には注意が必要だが、気の向くままに道を辿ってみるのも楽しい。巾着田を流れる小川も、“水温む季節”を実感する光景だ。巾着田の北側から南側を見れば桜並木は風景の一部となって、長閑な田園風景の中に桜色の帯を引く。その風景も素敵だ。足元を見ればオオイヌノフグリやヒメオドリコソウといった、この季節の花々が可憐に咲いている。そうした“小さな春”にも目を向けながら、のんびりと春を感じながら散策を楽しむのが、この季節の巾着田の醍醐味だろう。
桜咲く巾着田
お弁当とレジャーシートを持参して、春のピクニック気分で訪れるのもお勧めだ。あるいは春のハイキングを兼ねて、巾着田からさらに日和田山やその周辺へと足を延ばしてもいい。自然溢れる長閑な田園風景の中で味わう春爛漫、素敵な春の休日を過ごせる。お勧めである。
参考情報
  本欄の内容は巾着田関連ページ共通です
巾着田は通常期なら入場料などは必要ない。彼岸花の開花期には彼岸花群生地への入場料金が必要となる。有料期間や料金については巾着田公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
巾着田へは西武池袋線の高麗駅が近く、徒歩で15分ほどで着く。あるいはJR八高線高麗川駅からバスを利用すればよい。

車で来訪する場合は圏央道の圏央鶴ヶ島ICや狭山日高ICを利用するのが便利だ。圏央鶴ヶ島ICから国道407号を南下、県道15号へ逸れて西進、あるいは狭山日高ICから県道262号を北上、県道15号へ逸れて西進するルートがわかりやすい。

彼岸花の見頃の時期には巾着田周辺道路が混み合い、渋滞しがちなようだ。余裕を持って出かけることをお勧めする。

巾着田には西側河岸に来訪者用の有料駐車場が用意されており、駐車台数にも比較的余裕があるが、行楽シーズンには混み合うようだ。彼岸花の見頃の時期には臨時駐車場も設けられ、巾着田の中は一方通行などの通行制限が行われるが、要所に係員が立って誘導してくれるのでそれに従うといい。駐車料金については巾着田公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

飲食
巾着田の中には飲食店などはない。陽気の良い季節であればお弁当持参で訪れて、河原の木陰などにシートを広げてアウトドアランチを楽しむのがお薦めだ。

春から夏にかけての行楽シーズンは、駐車場脇の川原でバーベキューを楽しむ人たちも多い。直火は禁止とのことなので、バーベキュー用の道具を持参しよう。ちなみに9月から10月にかけての彼岸花開花期には河原でのバーベキューは禁止されている。

彼岸花の開花期には広場に露店が並び、地元の物産の販売の他に軽食を扱う店もあったが、本格的な食事は他に探した方が賢明だろう。

都道15号沿いには飲食店が点在しているので、お弁当持参でない人は利用するといい。ただし彼岸花のシーズンにはそれらの店も混み合うことは必至だ。

周辺
巾着田の北側には日和田山の山裾に長閑な里山風景が広がっている。散策の足を延ばしてみるのも悪くない。少し距離があるが、聖天院や高麗神社などを訪ねてみるのもいい。
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