佳景探訪
「あじさい寺」金泉寺
埼玉県嵐山町の北西部に金泉寺という寺がある。境内地裏山に数多くの紫陽花が植えられており、「あじさい寺」として広く知られる。紫陽花が見頃の六月下旬、金泉寺を訪ねた。



「あじさい寺」金泉寺

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「あじさい寺」金泉寺
南北に細長い埼玉県嵐山町、その嵐山町の北西部に大龍山金泉寺という曹洞宗の寺がある。南叟玄寿大和尚によって1618年(元和4年)に建立され、1715年(正徳5年)に現在地に再建されたそうである。この金泉寺は境内地の裏山に数多くの紫陽花が植えられ、「あじさい寺」の異名を持つ。この紫陽花は1980年代の中頃から住職によって植えられたもので、5000本ほどの数になるという(2015年現在)。紫陽花は現在も植栽が続けられて数を増やし、過去に植えられたものは年月を経て大きく育ち、その景観の見事さが広く知られるようになった。

金泉寺は嵐山町北西部の田園地帯の中に建っている。川筋に沿った水田地帯に挟まれるように丘陵地が横たわる地形で、その丘裾に本堂が建ち、周囲を丘が囲んでいる。境内地、本堂西側には丘が迫り、その斜面に数多くの紫陽花が植えられている。丘斜面には小径が巡り、紫陽花を間近に観賞できるように整備されている。金泉寺のすぐ西側には関越自動車道が通っており、丘の高所からはその様子が見える。当然、車の音も響いてくるが、興を削ぐほどではない。

丘の斜面を埋め尽くすように咲き誇る紫陽花は見事なものだ。圧巻の景観と言っていい。丘の下から見上げるのも素晴らしく、斜面に設けられた小径を辿って紫陽花に包まれるように散策するのも楽しい。高所から見下ろす風景も美しいものだ。斜面を辿る小径は未舗装の“山道”で、それも素朴な味わいを感じさせてくれる。小径は急な勾配のあるところもあり、雨が降ればぬかるんで滑りやすくなるが、それもまた一興というものだろう。

植えられた紫陽花は特に品種のこだわりはないようだ。西洋アジサイやガクアジサイが場所を選ばずに植えられているように見える。中にはアナベルやウズアジサイの姿もあり、景観にアクセントを添えている。小径を辿りながら、それらの紫陽花が織りなす景観を観賞してゆくのは素敵なひとときだ。小径を進んでゆけばさまざまに美しい景観が眼前に現れ、飽きることがない。歩きながら丘の上を見上げたり、丘の下方を見下ろしたり、それぞれに美しい景色が広がる。小径沿いの紫陽花の花を間近に観賞するのも楽しい。目の前を埋め尽くす紫陽花の向こうには、さらに紫陽花の咲く風景が広がり、その中を観賞する人たちが行き来する様子も良い風情だ。

斜面を辿る小径脇にはところどころに小さな掲示板が立てられている。おそらく住職によるものだろう、標語のような“教訓”がそれぞれに記されている。「幸せは自分が決めること 悔いのない日を作っていこう」など、ひとつひとつが味わい深い。言葉の横にはユーモラスな絵が添えてある。この掲示板を見てゆくのも楽しい。

丘の北側の一角は最近になって紫陽花を植栽したエリアのようで、まだ紫陽花が小さいが、それも年を追う毎に大きく育って素晴らしい景観を見せてくれるようになるだろう。本堂裏手には公園墓地のように整備された墓所があり、そこではネムノキやホタルブクロなども見ることができる。紫陽花だけでなく、そうした花々にも目を向ければさらに楽しい。

本堂前には大きなイチョウの木が立っている。このイチョウは金泉寺が現在地に移転した際に植樹されたものといい、樹齢は300年を超えるそうだ。秋には黄葉に染まり、数多くのギンナンを実らせるそうだが、紫陽花の季節には緑の葉を茂らせている。金泉寺に訪れたときにはこのイチョウも見ておきたい。

金泉寺の紫陽花は、整備の手が入りすぎていない、素朴な味わいが魅力だ。丘の斜面に咲き誇る紫陽花は、自生していた紫陽花が年月を経て数を増やしたような印象を与え、風趣に富んだ景観を織り成している。それが紫陽花の花の魅力をさらに引き立てているのだろう。丘の下の道路脇や本堂前の池の岸辺などにも数多くの紫陽花が咲き、丘へ上がる前から紫陽花の咲く風景を存分に楽しむことができる。“紫陽花の名所”と言っていい。見事なものである。

今回訪れた日(2015年6月下旬)は小雨が降ったりやんだりのお天気で、傘を開いたり閉じたりの散策だったが、しっとりとした風情が紫陽花によく似合い、雨に濡れた花々の姿も美しいものだった。良いお天気に恵まれれば散策も気軽だが、紫陽花の興趣をより楽しむにはこのようなお天気の方がいいかもしれない。

参考情報
紫陽花の咲く斜面を辿る小径は未舗装で、雨が降ればぬかるんで滑りやすい。相応の靴を履いてゆくことをお勧めする。

交通

金泉寺は東武東上線武蔵嵐山駅が最寄りだが、駅からは数キロの距離があり、近くにバス停もないため、駅からタクシーを利用しなくてはならない。

車で訪れるなら関越自動車道嵐山小川ICを利用するのが便利だ。嵐山小川ICから一般道に降りて右折、800mほど北へ進んで交差点を左折、田園風景の中を600mほど進んで再び左折、300mほど走ると金泉寺への入口を指し示す案内標識の立てられた交差点があるので、そこへ左折、奥まったところが金泉寺だ。嵐山小川ICから10分かからずに着く。

駐車場は設けられているが、規模の大きなものではなく、紫陽花の見頃の時期には混み合うようだ。余裕を持って出かけた方がいい。

飲食

金泉寺の周辺は田園地帯で飲食店などはない。飲食店は嵐山町中心部や小川町中心部へ移動して探そう。

周辺

金泉寺の周辺には長閑な田園風景が広がっている。足を延ばして散策してみるのもいい。

嵐山町南部へと移動すれば、菅谷館跡や嵐山渓谷などの名所がある。どちらも金泉寺から10km足らずの距離だ。都幾川の河岸に桜並木の続く都幾川桜堤も桜の時期には訪ねてみたい。

金泉寺からは小川町の中心部へも7kmほどと近い。小川町の町散歩を楽しむのもいいし、「道の駅おがわまち」を訪ねて埼玉伝統工芸会館などを見学するのもお勧めだ。小川町南東部の丘の上にある「仙元山見晴らしの丘公園」は、その名のように眺望が素晴らしいそうだ。
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