佳景探訪
小村井香梅園
東京都墨田区、東武亀戸線小村井駅のやや南方に香取神社が建っている。境内には小さいながらも梅園が設けられ、地元の梅の名所として知られている。梅の咲き始めた二月下旬、小村井の香取神社を訪ねた。



小村井香梅園

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小村井香梅園

香取神社
東武亀戸線の小村井駅は小さな駅だ。駅の東側を明治通が南北に抜け、交通量も多いが、通りから外れると住宅や店舗などが並んで静かな町並みを成している。ちなみに東武亀戸線の「小村井駅」の名は、江戸時代から明治初期にかけてこの辺りが「小村井(おむらい)村」であったことに由来するが、今は町の名としての「小村井」はない。

明治通の西側、小村井駅からは南南西の方角に二百メートルほど離れた辺り、文花二丁目に香取神社がひっそりと建っている。その名からもわかるように千葉県の香取神宮の分社で、平安時代の末期に分霊を勧請して建立されたものという。経津主大神(ふつぬしのおおかみ)を祀り、旧小村井村の鎮守として人々の信仰を集めてきた神社だ。

その香取神社の東隣に、江戸時代には三千坪を超える広大な梅園があった。築山や池、石を配した見事な庭園に多数の紅梅、白梅が植えられ、「梅屋敷」の名で呼ばれて梅の名所として知られ、将軍の御成もあったという。しかしこの「小村井梅園」は明治43年(1910年)の洪水で流失し、そのまま廃園になってしまった。

その「小村井梅園」を偲び、香取神社の境内に香取神社の宮司の手によって「香梅園」が造られたのが平成6年(1994年)のことだ。この香梅園には85種120本の梅が植えられているという。2月中旬から3月上旬にかけての梅の開花期には「梅まつり」が開催され、少しずつ知名度も上がり、今では多くの観梅客が訪れるようになった。

小村井香梅園は香取神社の境内の南側の一角に設けられている。道路に面した鳥居をくぐると右手に風雅な趣の門があり、門に「香梅園」と記されている。門をくぐった中にさまざまな品種の梅が所狭しと植えられ、その中を縫って散策路が巡っている。敷地としては小さなものだ。しかし、その狭さがかえって植えられた梅を密度濃く見せているようにも思える。散策路を歩けば、まさに目と鼻の先で梅の花が咲き誇っている。枝々は散策路の上にも張り出し、時には梅の花を避けるように歩かなくてはならないほどだが、そうしたところにも面白みがある。それぞれの梅には品種の名が記されているから、名を確かめながら観賞してゆくのが楽しい。丁寧に整えられた庭園は小さいながらも、いや小さいからこその興趣があり、そこに咲き誇る梅の花もよりいっそう魅力的に見えるように思える。

2月も下旬に差し掛かろうかという時期に訪れたのだが、まだ五分咲きから七分咲きという状態だった。今年(2008年)の2月の前半は平均気温が例年より低かったせいか、各地で梅の開花が遅く、この香梅園でも開花が遅れているようだった。それでも充分に見応えのあるもので、観梅に訪れている人も少なくなかった。香梅園は香取神社の境内に設けられている。訪れたときには感謝の意も兼ねて神社へも参拝してゆこう。
参考情報
交通

小村井香梅園へは東武亀戸線小村井駅が至近で、歩いて数分というところだろうか。駐車場はなく、来訪の際は電車を利用する方がいい。

飲食

香梅園にはお弁当を広げられるようなスペースはなく、梅を眺めながらランチタイムを楽しむというわけにはいかない。食事はどこか別のところで楽しむといい。小村井駅近辺に飲食店が少しばかりあるようだが、亀戸駅や曳舟駅の周辺へと足を延ばした方が選択肢が多い。

周辺

神社西側の道路を南へと辿って行くと、区境となった北十間川を越えて江東区だ。そのまま「浅草通」を横切って南へ進むとやがて亀戸天神の東側へと至る。小村井の香取神社から亀戸天神まで1キロメートル足らずだ。亀戸天神も梅が美しい。併せて訪ねてみるといい。なお、江東区亀戸三丁目の「明治通」沿いには亀戸の香取神社があり、距離も近いが、小村井の香取神社とは別の神社なので初めて訪れる際には注意が必要だ。

小村井駅から北西の方角へ十数分歩けば京島の町だ。京島の町には古い建物が残り、下町風情溢れる商店街もある。足を延ばして訪ねてみるのもお薦めだ。

小村井香梅園
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