東京都調布市の神代植物公園は、四季折々に様々な植物を観察することのできる公園だ。六月になると、無料区域の水生植物園の花菖蒲が見事を迎える。梅雨の晴れ間の六月上旬、神代植物公園を訪ねた。
六月の神代植物公園
神代植物公園の本園部分の南、深大寺のさらに南側に、谷戸地となった地形を活かして「水生植物園」が神代植物公園の分園として設けられている。「水生植物園」は無料開放区域で、自由に入園することができる。園内には東京都指定史跡の深大寺城跡も保存されているが、メインになるのは深大寺の裏山からの湧き水が集まったという湿地だ。その湿地に木道を通すなどして整備されたのが、「水生植物園」だ。
六月の神代植物公園
「水生植物園」にはアシ、コガマ、マコモといった植物が生えていたそうで、さらにコウホネやアサザ、ミクリなども植えられ、さまざまな水辺の植物を見ることができるようになっている。その北端の一角には「はなしょうぶ園」が設けられており、六月には花期を迎えて情緒に富む景観を見せてくれる。
六月の神代植物公園
「はなしょうぶ園」は、規模は小さなものだ。株数などは公表されていない(2016年現在)が、花菖蒲を目当てに訪れると少しばかり期待外れな思いを抱きかねない規模だと言っていい。しかし、梅雨空が続く季節、花菖蒲の咲く風景は日本情緒に富んで美しいものだ。花菖蒲を観賞しながら木道を辿れば、しっとりとした風情を感じながらの散策を楽しむことができる。
六月の神代植物公園
「はなしょうぶ園」からそのまま木道を辿り、「水生植物園」を一回り、水辺の自然を楽しみながらの散策のひとときを過ごすのがお勧めだろう。「水生植物園」の南端部には小さいながらも田圃が設けられている。その風景も興趣に富んでいる。梅雨の晴れ間に夏の気配が漂う季節、ひととき町の喧噪を忘れて散策を楽しむことができる。
六月の神代植物公園
六月の神代植物公園
六月初旬、神代植物公園の本園部分、正門前に設けられた「つつじ園」ではサツキが見頃を迎えていた。こんもりと端正に剪定されたサツキが鮮やかな色に染まって園内を彩っている。ツツジ、サツキといった樹木はこうして端正な樹形に剪定されることによって、風趣に富んだ美しさを醸し出す。その美しさを存分に堪能しておきたい。
六月の神代植物公園
参考情報
本欄の内容は神代植物公園関連ページ共通です
神代植物公園は入園料が必要だ。また無料区域の「自由広場」と「ドッグラン」以外の区域への「動物を連れての入園はご遠慮ください」とのことだ。入園料や開園時間、休園日など、詳細については東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
神代植物公園は電車の駅からは離れており、駅からバスを利用しなくてはならない。京王線調布駅、京王線つつじヶ丘駅、JR中央線三鷹駅、JR中央線吉祥寺駅などから神代植物公園行き、あるいは神代植物公園を経由するバス路線がある。詳細は東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

車で来訪する場合は、国道20号の「下石原交番前」交差点から「武蔵境通り」へ折れて北上、あるいは東八道路(都道14号)の「野崎八幡前」交差点で「武蔵境通り」へ折れて南下するのがわかりやすいだろう。中央自動車道を利用するときには調布ICで国道20号の上り方向へと降りれば300mほどで「下石原交番前」交差点だ。

「武蔵境通り」の「神代植物公園北」交差点から東へ折れれば公園駐車場がある。駐車場は有料で、西側に第一駐車場(約220台分)が、東側に第二駐車場(約100台分)が設けられている。バラの季節など、来園者の多い行楽シーズンには臨時駐車場が開放され、全部で1000台分近い駐車スペースがあるが、それでもたいへんに混み合う。公園側でも公共の交通機関の利用を呼びかけている。

飲食
公園には正門脇にレストランがある。レストランのメニューはカレーライスやチャーハン、焼きそば、うどんといった軽食が中心だが、ケーキやあんみつなどの甘味も扱っている。手軽に食事を済ませたいときには便利だろう。また「芝生広場」脇の売店でもカレーライスや焼きそば、おにぎりなどの軽食を販売している。もちろんお弁当持参で「芝生広場」にレジャーシートを広げてのアウトドアランチを楽しむのもお勧めだ。

公園南側の「深大寺門」から出れば、深大寺周辺に有名な「深大寺そば」を商う店が多数ある。行楽シーズンにはたいへんに混み合うが、「深大寺そば」を味わってみるのもいい。

周辺
公園の南側には深大寺がある。ぜひ参拝しておきたい。周辺には蕎麦店などが建ち並び、なかなか興趣に富んだ風景が広がる。のんびりと散策を楽しむのがお勧めだ。

さらに南へ下れば野川が流れている。野川の河岸に沿っての散策もお勧めだ。公園の西へ向かえば国立天文台がある。少し距離があるが、散策の足を延ばしてみるのも楽しい。
花菖蒲散歩
東京多摩散歩