佳景探訪
梅香る神代植物公園
東京都調布市の神代植物公園は、その名のようにさまざまな植物を観察することのできる公園だ。園内には梅林も設けられ、梅の名所として広く知られている。梅が見頃を迎えた三月初め、神代植物公園を訪ねた。



梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園
神代植物公園の南東側、深大寺門の東側には本園部分と細い道路で隔てられ、神代小橋という橋で繋がれた区画がある。ここには「ウメ園」や「ツバキ・サザンカ園」、「サルスベリ・ザクロ園」、「竹笹園」が設けられている。特に「ウメ園」の梅は見事で、観梅の名所として広く知られ、見頃の時期には多くの観梅客を迎えて賑わう。

神代植物公園の「ウメ園」には72品種、210本の梅があるそうだ。「ウメ園」の中は紅梅、白梅が織り交ぜて植えられた梅林となっており、その中を縫うように園路が巡っている。園路から離れて林の中に足を踏み入れても構わないようで、さまざまな視点で梅の花を楽しむことができるのが嬉しい。梅林の中に入れば周囲を紅白の梅が取り囲み、梅の花が演出する早春の風情を存分に堪能することができる。「ウメ園」の北側の外苑部は「竹笹園」の一部を成す竹が茂っており、そのために「ウメ園」全体が囲まれた印象になり、それによって落ち着いた佇まいとなっているのもいい。園路には随所にベンチが置かれ、端の方には四阿も設けられており、腰を下ろしてのんびりと梅の咲く風景を眺めて過ごすこともできる。

梅林の中をゆっくりと時間をかけて歩けばさまざまな景観を楽しめて飽きない。早春の日差しを浴びて輝く白梅を青空を背景に見上げるのも美しく、逆光に浮かぶ紅梅の姿も素晴らしい。中には見事な樹形の梅もある。青々とした竹を背景にした梅の花も良い風情だ。梅の花の一輪一輪を、梅の木の一本一本を愛でつつ、数多くの梅が咲き誇る梅林の風景を眺めながらの散策は時の経つのを忘れる。“梅の咲く風景”を遠くから眺めるような楽しみ方はできないが、梅林の中に身を置けば梅の花に包まれるような感覚が楽しめる。それが神代植物公園の「ウメ園」の最大の魅力だろう。

「ウメ園」や「ツバキ・サザンカ園」のある、この区画には中央部を貫くように大きな園路が延びているが、その園路沿いにも梅の木が並んでいる。中央部園路から眺めると梅林の中とは違って開放感を伴った景観が楽しめる。これも見ておきたい。

神代小橋の袂にはサンシュユが花を咲かせていた。サンシュユの可憐な黄色い花も早春を彩る花のひとつだ。「ウメ園」の中にもわずかだがサンシュユがある。紅白の梅と黄色いサンシュユの花を青空を背景に見ると、鮮やかな色彩のコントラストが美しい。


梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園
正門近く、「ツツジ園」横の池の岸辺に、一本の白梅が印象的に立っている。樹形も美しく、陽光を浴びて輝く姿が素晴らしい。池の対岸には小さなものだが「雪吊り」を施した松があり、それが梅と一緒に視界に収まる景観がいい。梅と池と、雪吊りを施した松との組み合わせが、何とも良い風情を漂わせる。池の対岸に回り、池越しに見る梅の姿もいい。「ツツジ園」のツツジや芽吹きを待つケヤキの樹形を背景に白梅が立ち、その姿が池の水面に揺れる。数多くの梅が咲き誇る梅林も素晴らしいものだが、こうした風景も興趣に富んで素晴らしいものだ。


梅香る神代植物公園
「ツツジ園」南側の四阿近くや、さらに「バラ園」北側を東西に延びる広い園路の脇にも数本の白梅が並んでいる。“見応え”という点では特筆するほどではないが、散策の目を楽しませてくれる。正門から「ウメ園」へと向かえば、“プロローグ”のような意味合いで楽しめるだろう。


梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園
「芝生広場」北側の園路脇にも見事な梅が一本立っている。「薄色縮緬(うすいろちりめん)」という品種だそうだ。名を記したプレートに添えられた解説によれば、「一重の薄桃色の大輪で、5個の花弁が波打って縮んだ様になっている」ことから、この名があるという。主に盆栽として楽しまれる梅らしいが、ここのものは大きく育って見事な姿を見せている。近寄れば見上げる高さで、春の青空を背景に大輪の花が密度濃く咲き誇り、春の日差しを浴びている様は素晴らしい美しさだ。散策の足を止めてひとときその姿に見入る人の姿も少なくない。その枝の中に、ちょうどメジロの姿があった。咲き誇る梅の花の中を飛び回るメジロの姿も早春の風情である。


梅香る神代植物公園

梅香る神代植物公園
入園料の必要な本園部分の北側には無料で利用できる区域がある。「自由広場」や「植物多様性センター」などが設けられ、一角には調布市総合体育館も併設されている。この調布市総合体育館脇にも小さいながら梅林が設けられ、紅白の梅が咲いている。梅は数えるほどしかなく、風情という点でも劣るが、観梅客の姿は無く、静かにのんびりと観梅を楽しむことができる。時間と体力に余裕があれば足を延ばしてみるのも悪くない。




早春の深大寺
深大寺の境内には梅の木はあまり多くはないが、丁寧に境内を巡るとあちこちで梅の花を見つけることができる。“梅の名所”というほどの絢爛な印象ではないが、それもひとつの興趣というものだろう。特に山門の両脇で花を咲かせる紅白の梅がいい。山門との取り合わせが閑寂な味わいを醸していて味わい深い。神代植物公園に訪れたときには、ぜひ深大寺にも足を延ばしておきたい。
参考情報
本欄の内容は神代植物公園関連ページ共通です
神代植物公園は入園料が必要だ。また無料区域の「自由広場」と「ドッグラン」以外の区域への「動物を連れての入園はご遠慮ください」とのことだ。入園料や開園時間、休園日など、詳細については東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通

神代植物公園は電車の駅からは離れており、駅からバスを利用しなくてはならない。京王線調布駅、京王線つつじヶ丘駅、JR中央線三鷹駅、JR中央線吉祥寺駅などから神代植物公園行き、あるいは神代植物公園を経由するバス路線がある。詳細は東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

車で来訪する場合は、国道20号の「下石原交番前」交差点から「武蔵境通り」へ折れて北上、あるいは東八道路(都道14号線)の「野崎八幡前」交差点で「武蔵境通り」へ折れて南下するのがわかりやすいだろう。中央自動車道を利用するときには調布ICで国道20号の上り方向へと降りれば300mほどで「下石原交番前」交差点だ。

「武蔵境通り」の「神代植物公園北」交差点から東へ折れれば公園駐車場がある。駐車場は有料で、西側に第一駐車場(約220台分)が、東側に第二駐車場(約100台分)が設けられている。バラの季節など、来園者の多い行楽シーズンには臨時駐車場が開放され、全部で1000台分近い駐車スペースがあるが、それでもたいへんに混み合う。公園側でも公共の交通機関の利用を呼びかけている。

飲食

公園には正門脇にレストランがある。レストランのメニューはカレーライスやチャーハン、焼きそば、うどんといった軽食が中心だが、ケーキやあんみつなどの甘味も扱っている。手軽に食事を済ませたいときには便利だろう。また「芝生広場」脇の売店でもカレーライスや焼きそば、おにぎりなどの軽食を販売している。もちろんお弁当持参で「芝生広場」にレジャーシートを広げてのアウトドアランチを楽しむのもお勧めだ。

公園南側の「深大寺門」から出れば、深大寺周辺に有名な「深大寺そば」を商う店が多数ある。行楽シーズンにはたいへんに混み合うが、「深大寺そば」を味わってみるのもいい。

周辺

公園の南側には深大寺がある。ぜひ参拝しておきたい。周辺には蕎麦店などが建ち並び、なかなか興趣に富んだ風景が広がる。のんびりと散策を楽しむのがお勧めだ。

さらに南へ下れば野川が流れている。野川の河岸に沿っての散策もお勧めだ。公園の西へ向かえば国立天文台がある。少し距離があるが、散策の足を延ばしてみるのも楽しい。
梅香る神代植物公園

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