東京都立川市の南部、柴崎体育館の北側に立川公園の一部として花菖蒲園が設けられている。小さな菖蒲園だが木々に囲まれて落ち着いた佇まいだ。花菖蒲が見頃の六月半ば、立川公園花菖蒲園を訪ねた。
立川公園花菖蒲園
東京都立川市の南部、柴崎町から錦町にかけて、根川緑道をはじめ、柴崎体育館や野球場、陸上競技場といった施設が点在し、立川公園という広域公園を成している。その立川公園の一部として、柴崎体育館の北側には花菖蒲園が設けられている。
立川公園花菖蒲園
立川公園花菖蒲園
花菖蒲園は多摩都市モノレールの「柴崎体育館」駅のすぐ東側に位置しているが、感覚的には柴崎体育館の“裏手”にあると言った方がいいかもしれない。柴崎体育館の“裏手”に回ると、道路を挟んで広場を設けた公園スペースがあり、花菖蒲園はその北側だ。花菖蒲園の西側は草はらで、一角には花壇も設けられている。この一角は青柳崖線の西端部に当たるところで、北側から東側にかけては青柳崖線に沿って木々が茂っている。西側は多摩都市モノレールの軌道と、その下の都道149号が南北に抜け、南側には広場に植えられた木々が葉を茂らせている。それらに囲まれて、花菖蒲園の一角はまるで“隠されている”かのようにひっそりとした印象だ。
立川公園花菖蒲園
立川公園花菖蒲園
花菖蒲園は面積2000平方メートルほど、植えられている花菖蒲の株数は明示されていないようだが、2000〜3000株ほどだろうか。決して規模の大きな花菖蒲園というわけではないが、前述したようなひっそりとした佇まいが良い風情を醸している。菖蒲田の周囲には遊歩道が設けられており、そこを辿ればさまざまな方向から花菖蒲を観賞することができる。見る方向が違えば日差しの向きも変わり、背景も変わり、花菖蒲の見せてくれる景観は表情を変えて飽きない。菖蒲田の周囲を巡る遊歩道は未舗装の小径で、その素朴な佇まいも素敵だ。青柳崖線のすぐ下を辿る小径の風情もいい。
立川公園花菖蒲園
立川公園花菖蒲園
花菖蒲園の南側、広場との間に小川が流れている。これは柴崎分水と呼ばれる用水路で、この用水と青柳崖線の湧水を花菖蒲園に使用しているという。かつてはこの辺りの青柳崖線南側の低地部分は、花菖蒲園を含めた公園全体が水田だったという。その水田を、柴崎分水が支えていた。花菖蒲園の東側には今も(2014年現在)水田が残っている。花菖蒲の見頃の時期、田圃は田植えを終えたばかりで、植えられたばかりの苗が風に揺れている。小さな水田だが、素朴な表情を見せる畦道の様子などから、この一帯がすべて水田だった頃の風景を想像してみるのも一興だろう。
立川公園花菖蒲園
立川公園の花菖蒲園は、規模の点から言えば“花菖蒲の名所”とは言い難いが、青柳崖線下という立地には格別の興趣があって楽しめる。青柳崖線や柴崎分水について、訪れる前に少し知識を得ておくとさらに楽しめるだろう。
立川公園花菖蒲園
立川公園花菖蒲園
立川公園花菖蒲園
花菖蒲が見頃となる6月中旬、梅雨の晴れ間は夏の暑さだ。柴崎体育館南側の根川緑道へと足を延ばし、木漏れ日の中、水辺の散策を楽しむのもお勧めだ。滴るような緑の中、涼やかな水の流れを眺めながらの散策は楽しい。岸辺に咲くコムラサキの花や、水の中を泳ぎ去る小魚の姿に目を留めながら、ひとときのんびりと水辺散歩を愉しみたい。
参考情報
立川公園花菖蒲園は入園料などは必要ない。自由に入園できる。

交通
立川公園花菖蒲園へは多摩都市モノレール柴崎体育館駅が至近だ。駅から南側へと出て、都道149号(多摩都市モノレールの下の道路)の東側、柴崎体育館の裏手へと辿れば駅から数分で着く。JRの立川駅からでも都道149号を辿って15分ほどで着く。

柴崎体育館には駐車場があるが、花菖蒲園の来園者用駐車場は設けられていない。車で来訪する場合は駅近辺の民間駐車場に車を置いて徒歩で来園することをお勧めする。

飲食
柴崎体育館の周辺には飲食店はあまりない。南側の新奥多摩街道沿いに出れば、「立日橋北」交差点周辺や「日野橋」交差点周辺にファミリーレストランなどが建っている。立川駅周辺に移動すればさらに選択肢が増えるだろう。

お弁当を持参して、菖蒲田脇のベンチや根川緑道のベンチなどに場所を見つけてランチを楽しむのも悪くない。

周辺
柴崎体育館の南側には立川公園の一部として根川緑道が東西に延びている。桜の名所として知られる緑道だが、初夏から夏にかけては水辺の散策が楽しい。足を延ばしてみるのがお勧めだ。

根川緑道の東端部からさらに東へ、青柳崖線に沿って延ばし、「ママ下湧水」と呼ばれる湧水や府中用水の景観を楽しむのもお薦めだ。

立川駅の北西には広大な国営昭和記念公園がある。多摩都市モノレールで柴崎体育館駅から北立川駅まで移動すれば便利だ。
花菖蒲散歩
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