日南線の旅〜踏切の風景
大藤踏切
大藤踏切
北郷駅から内之田駅まで、日南線の線路は県道430号と寄り添いながら広渡川の右岸(西岸)を南下してゆく。北郷駅と内之田駅との中間点よりやや内之田駅寄り、北郷駅から3kmほどのところで、この大藤踏切を通過する。踏切を渡る道路は、踏切の東側で「大藤橋」で広渡川を跨ぎ、広渡川の右岸を辿る県道430号と左岸を辿る県道28号とを繋いでいる。

県道28号の交差点には「大藤」の名がある。「大藤」はこの付近の字名だ。現在の住所表示では「日南市北郷町大藤甲」と「「日南市北郷町大藤乙」が存在し、大藤踏切は両者の境付近にある。踏切は「大藤乙」だが、大藤橋を渡った広渡川左岸は「大藤甲」だ。
大藤踏切
踏切の西側は県道430号との交差点だ。県道430号と線路は完全に隣接しているから、踏切から丁字路となった交差点までほとんど距離がない。大藤橋側から踏切を渡って県道430号へ出る際、特に右折の場合は少し気を遣うが、日南線の便数が少なく、県道430号の交通量も少ないから大きな不便はないのだろう。
大藤踏切
丁字路の交差点に踏切側から来ると、目の前には左方向を指し示して「飫肥」と記した案内標識がある。それが示すとおり、県道430号を南へ辿れば、内之田駅前を経て5kmほどで飫肥の町の中心部へ至る。

踏切横の丁字路交差点のすぐ近くに、バス停が設けられている。バス停には「大藤渡」の名がある。推測だが、おそらく昔、広渡川の渡船場があったのだろう。「大藤渡」の名はその名残なのではないか。

2017年(平成29年)夏現在、「大藤渡」バス停を経由するバスは、一日に二便しかない。朝7時24分に北郷方面行き、夕方16時46分に油津方面行き、時刻表にはその二便しか記されていない。この「大藤渡」のバス停でどれほどの乗降客がいるのだろう。ほとんどいないのではないだろうか。
大藤踏切 大藤踏切
夏の日の午後、辺りは蝉時雨に包まれている。曇りがちの日で、暑さがねっとりと澱んでいる。ときおり県道430号を車が行き過ぎる。希に、大藤踏切へと曲がってゆく車もある。大藤橋から踏切を越えて県道430号へと曲がってゆく車もある。しかし、交通量はあまり多くはない。車が行き過ぎれば、辺りはまた蝉時雨に包まれる。夏の盛りである。
大藤踏切
INFORMATION
大藤踏切
【所】日南市北郷町大藤乙
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ページ内の写真は2017年夏に撮影したものです。本文は2020年12月に作成しました。