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夏の朝、間もなく上りの列車がやってくる。駅舎のベンチには高校生らしい女の子がふたり座っている。待ち時間を利用して、ふたりとも手鏡を見ながらメイクに余念がない。宮崎へ遊びに行くのらしかった。メイクが一通り終わったのを見計らって、座っている様子を写真に撮ってもよいかと訊ねると、ちょっと戸惑いながらも応じてくれた。
列車の時間が近づくと、ひとりふたりと駅に人が増えてくる。駅舎とは反対側から直接ホームへとやってくる人もいる。やがて一両のみの日南線がガタゴトと車体を揺らしてやってくる。のんびりとしたもので、列車が駅に着き、ホームの横に停まってから、ようやく駅舎を出てホームに向かう人も少なくない。列車から降りる客はひとりもない。
列車を待っていた数人の客が乗り込み、発車の時刻が近づくが、女性がひとりホームに立ったまま乗り込もうとしない。どうやら一緒に乗るはずだった連れの人間の姿が見あたらないようだった。女性はしきりに周囲を見回すのだが、連れの者が姿を現す気配はない。運転士が窓越しに女性と話をしている。「もうしばらく待ってみましょうか」などと、気遣っているのかもしれない。女性は遠慮しているような仕草で返事をしている。運転士は席に着き、ホームに女性を残し、列車は出てゆく。一両だけのディーゼル車はゆっくりと加速し、やがて木立の向こうに見えなくなった。
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