横浜線沿線散歩公園探訪
町田市相原町
相原中央公園
Visited in June 2011
相原中央公園
町田市相原街の中央部辺り、相原中央公園という公園がある。2005年(平成17年)に開園した公園で、15.7haほどの面積を有する。園内には雑木林の丘陵地を含み、テニスコートやグラウンドなども整備されている。
相原中央公園
公園は道路に面した南側に管理事務所や駐車場が置かれ、その辺りが公園のメインエントランスという位置付けのようだ。その両脇に「スポーツ広場」や「多目的広場」、「相原中央テニスコート」、「壁打ちテニスコート」、「相原中央グラウンド」などのスポーツ施設や広場が設置されている。「相原中央グラウンド」と「相原中央テニスコート」はナイター設備を有し、夜間利用も可能ということだ。利用は有料で、予約が必要だ。

管理事務所のすぐ横には「作業棟」の建物があり、ボランティア活動などの拠点として使用されるようだが、使用されていないときは建物前のテーブルとベンチが休憩所として利用できる。

相原中央公園
「作業棟」の西側には「四季の丘」と名付けられた一角がある。蝋梅や辛夷、桜、百日紅、金木犀などが植栽され、その名のように四季折々の花が楽しめるように設えられているそうだ。いわゆる“花木園”と考えていいだろう。今回訪れたのは六月の末で、特にこれといった花がなかったのが残念だった。「四季の丘」の最上段にはベンチが設置されている。ベンチに腰を降ろし、花を眺めながらのんびりと一休みすることができるのは嬉しい。
相原中央公園
「作業棟」の東側には谷戸の地形を利用した芝生広場が北側へと延びている。南側から「遊具広場」、「自由広場」、「草の広場」と、それぞれ名付けられているようだが、区域が分かれているわけではなく、細長い広場として一体のものだ。奥行きは200mほど、面積は6500平方メートルほどあるということで、歩いてみてもなかなか広い。広場の外縁部には丘の裾に沿って散策路が巡り、樹林と広場の織りなす風景を眺めながらの散策が楽しめる。

相原中央公園
この広場の南東部には数は少ないながらも遊具が設置されている。“丸太の橋”を渡って遊ぶ遊具など、ほとんどは木材を使ったシンプルな遊具だ。少し物足りなく感じる人もあると思うが、子どもたちにとっては広場や樹林が何よりの遊び場になるだろう。

相原中央公園
広場の奥には小さいながらも池がある。公園として整備される以前からあった池なのかどうかわからないのだが、自然のままの池を思わせる様子が素敵だ。池には湿性の植物が茂っている。水面で小さな黄色い花を咲かせているのはアサザのようだ。水深は20cmほどの池だが、周囲に柵などはなく、小さい子どもを連れている人は念のため注意した方がいいだろう。

相原中央公園
今回訪れたのは六月の下旬、この池の周辺で紫陽花が花を咲かせていた。池の背後から池脇の散策路沿いに紫陽花が植栽されているらしく、緑濃い園内の風景に彩りを添えてくれる。数はそれほど多くはなく、“紫陽花の名所”と呼べるほどではないが、それでも花の咲く風景というのはよいものだ。

相原中央公園
池近くの散策路脇に、手押しポンプ式の井戸が設けられている。井戸の水はもちろん飲むことはできないが、手を洗ったりすることはできる。汲み上げた水は池の水の補充に使われるらしい。“手押しポンプを使って水を汲む”という作業そのものが、子どもたちにとっては面白いものかもしれない。

池の東側、奥の林の中には炭焼き窯が置かれている。公園の雑木林管理の際に発生した間伐材などを利用して炭焼きを行うのだそうだ。炭焼き体験などのイベントも開催されるらしい。
相原中央公園相原中央公園
相原中央公園
その芝生広場を囲むように、北側には雑木林の丘が広がっている。この雑木林はなかなか広く、公園の面積の大部分を占めている。この雑木林を保全することもまた公園の目的のひとつなのだろう。

テニスコート横や「四季の丘」、芝生広場奥など、随所から林の中へと散策路が延びている。散策路とは言っても、昔からの小径を整備しただけのものだろう。この小径を辿れば、雑木林散策を存分に楽しむことができる。

最も北側の尾根道は丸山団地と七国峠とを繋ぐ尾根道で、そのまま辿ってゆくとどこまでが公園の範囲内なのかも判然としないまま公園の区域を抜け出て七国峠へと至っている。そのまま少し足を延ばしてみるのも楽しい。
相原中央公園
公園の東南側の角には尾根の端部となった地形を利用して「さくらの丘」という区域が設けられている。その名が示すように桜を植栽し、春に花見を楽しめる場所として考えられたもののようだ。訪れた六月下旬にはもちろん桜の木は青々と葉を茂らせていたが、その様子もまた魅力のあるものだ。

この「さくらの丘」は南東側に視界が開けており、南東に目を向ければ橋本の市街地に建つビル群のシルエットを見ることもできる。視界が開けているために開放感があり、木陰にシートを広げてアウトドアランチを楽しむには絶好の場所だ。春のお花見シーズンにはさらに魅力的だろう。

相原中央公園 「さくらの丘」下の散策路脇には「カタオカザクラ」が植えられている。「カタオカザクラ」は1945年(昭和20年)に長野県塩尻市片丘の山林で発見され、その後、その自生地が山火事で焼失、“幻の桜”となってしまったものだ。現在のカタオカザクラは東大理学部付属植物園日光分園に移植されていた一本の木から殖やしたもので、町田市のものは塩尻市から寄贈されたものという。そうしたことを記した解説板が傍らに設置されている。樹木に興味のある人は観ておくとよいだろう。なお、カタオカザクラは尾根緑道にも植栽されている。
相原中央公園相原中央公園
相原中央公園は基本的には“里山保全型”の公園と言っていい。昔からこの地にあった雑木林の丘陵地を活かし、その自然を保全し、市民の憩いの場として活用することに第一義の目的があるのだろうと思える。それに加えてグラウンドやテニスコートなどのスポーツ施設を併設する形で整備したものだろう。一般的な利用者にとっては、やはり雑木林の丘を背負った緑豊かな様相が何よりの魅力だろう。四季折々に美しい表情を見せる雑木林の中の小径をのんびりと散策するのは楽しいひとときだ。小さい子どものいる家族には遊具類が少ないのが難点かもしれないが、芝生の広場や雑木林そのものが良い遊び場になってくれるだろう。

駐車場は二カ所に分かれているが、どちらも管理事務所脇に設置されている。全部で60台分ほどの駐車スペースがある。主要道路に面していないので初めて訪れる人には場所がわかりにくいかもしれない。JR横浜線相原駅から歩いても20分ほどだ。遠足気分で歩いて訪れるのも楽しいだろう。公園の位置や利用方法など、詳細は町田市サイト(頁末「関連する外部ウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい
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