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JR横浜線の相原駅を西に出ると「朱雀路」という散策路を示す案内板がある。横浜線の線路の西側に広がる雑木林の丘陵を縫って辿る散策路だ。この朱雀路を順路に従って歩いてみた。 |
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「梅の木沢」へと向かって進む。車両の通行も可能な舗装路だが、車はまったく通らない。ただ一台、郵便配達のバイクが追い越してゆく。おそらく奥まったところで行き止まりになる道路なのだろう。右手に雑木林を見ながら、左には杉木立の向こうからせせらぎの水音が聞こえる。川の源流域に近い谷戸の様相だ。このあたりが「梅の木沢」なのだろう。しばらく進むと右に折れる道があって、案内板は「尾根道」を示している。
尾根道は町田市と八王子市の境にあたっている。行く手の右側は八王子市で、尾根道からの視界には雑木林の木立だけが見えているが、その向こうにはみなみ野シティの開発による造成地が広がっているはずだ。尾根道は比較的歩きやすく、木立の中の空気が爽快だ。九月も下旬だというのに木立の中では蝉が鳴いている。歩いてゆくと人とすれ違った。林の中の下草刈りの作業をしているらしかった。
峠から道が分かれて延びている。峠を越える鎌倉古道から逸れて、南へ延びる道には「丸山表」とあり、北へ山肌を上るようにして「お大日さま」とある。「丸山表」へと辿れば丸山団地方面へと抜け出ることになるだろう。「お大日さま」と示された小道へと進む。道は山の斜面に半ば階段状に這っており、足下を確かめつつ進む。細く曲がりくねった道をさらに進むと、やがて林の中にぽっかりと開いた空間があって、大日如来の祠があった。 祠の前はちょっとした広場のようになっていて、ベンチなども設けられ、朱雀路散歩の休憩所のような役割も持っているかのように見える。ベンチには、近所の人なのだろうか、年輩の男性が腰を下ろして新聞を読んでいる。祠の前には年輩の女性四人連れの姿があった。朱雀路の散策を楽しむグループなのだろう。 大日如来の祠の前からさらに奥へと向かって道が延びている。これも鎌倉古道と書かれてある。そのままその道へと歩を進めてみた。道は下り坂だ。やはり鎌倉古道であるらしく、ところどころに特徴的な堀割の地形をみることができる。終始下り坂の道をしばらく進むと、やがて舗装路の交差点へと出た。出たところに朱雀路の案内板があり、左に順路を指し示しているが、丁字路となった舗装路の交差点をどちらに進めばよいのか少々迷う。交差点のあたりをうろうろとしていると、傍らの林の中に分け入ってゆく小道を見つけた。朱雀路順路を示す案内板もある。「開都」という地名を示している。この道がどうやら先ほどまで歩いてきた道の延長であるようだった。 道は今度は上り坂だ。普段はほとんど人が通ることもないように見える。降り続いた雨によって小道は渓流と化していた様子もうかがえる。小石が多くて歩きづらく、足下を確かめつつ慎重に進まざるを得ない。登りきって、今度は下る。このあたりは水はけがよくないのか、道はぬかるんでいるところもあって歩行者のために板が渡されているところもあった。
朱雀路の案内板はさらに東へと向かって順路を指し示している。案内板が示す、その「長者窪」という地名に惹かれてさらに進んでみる。道はファミリーレストランなどの裏手を抜けて町田街道に沿って延びており、主要道路沿いの喧噪のためにあまり散策を楽しめる雰囲気ではない。やがて道が町田街道に合流しようとするあたり、朱雀路の案内板があった。左手の方角、丘陵へと上ってゆく坂道へ向けて順路が指し示してある。
案内板はさらに上方を指し示して朱雀路終了点とある。傍らに記された解説によれば、この畑から続く丘が朱雀山であるらしい。畑の中の小道を進む。両脇の畑にはさまざまな作物が植えられており、農作業中の人の姿もあった。雑木林の木立の脇を抜けるあたりまで進み、振り返ると長者窪の美しい風景が逆光に映えた。
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今回の朱雀路散策は予備知識もほとんどなく、初めてのことであったので敢えて順路に従って進んでみた。途中、いくつもの分かれ道があったので、それらをまた別の機会に歩いてみたい。早春の頃や、桜の季節、あるいは新緑に輝く季節や紅葉の頃も美しい風景を楽しむことができるだろう。それぞれの季節にまた足を運びたいと思わせる散策路だった。 順路に沿って全行程を歩くとけっこうな距離があり、また雑木林を抜ける小道には悪路の部分もあり、家族連れのピクニック気分での散策にはあまり適しているとは言い難い。散策路途中には広場などはなく、お弁当持参の場合も広げる場所に困ってしまうかもしれない。相原十字路近くにはファミリーレストランなどの飲食店もあるので、散策途中に昼食をとるのであればそれらを利用するのが賢明だろう。 「朱雀」とは中国古代に信じられた空想上の動物で、南方、あるいは季節の夏を司る神獣である。東の青龍、北の玄武、西の白虎とともに四獣として数えられ、それぞれに相応する土地柄があるのだという。朱雀は汚地、すなわち窪んだ湿地に応じている。 |
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