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本堂を右手に見ながら進むと、斜面となった林へと小径が延びている。入口脇には「豊顕寺市民の森」の名と「神奈川区ビューポイント36景」のひとつであることを示す案内板が設けられている。林の中に足を踏み入れると、右手に広場のような場所があり、木製のテーブルとベンチがいくつか置かれている。「桜広場」との名があるが、その名の通り、周囲の木立は桜で、地元ではお花見の場所として親しまれているという。桜は約200本あるらしい。訪れたのは四月の下旬ですでに花の時期を過ぎ、新緑の中に木洩れ日が揺れて美しかった。
林はさらに南へ向かって緩やかな勾配で上り、やがて南端部で丘の上へと至る。一角には「藤棚広場」と名付けられた広場があり、その名が示すように大きな藤棚が設けられている。「藤棚広場」の周囲には八重桜が咲き、残念ながら花の盛りの時期は過ぎてしまっていたが、なかなか美しい姿を見せてくれていた。ところどころにはツツジも咲き、瑞々しい新緑とのコントラストが鮮やかだ。「藤棚広場」の横手には「八幡広場」という広場があり、四阿が設けられている。この「八幡広場」のあたりが「豊顕寺市民の森」の南端部と言ってよく、抜け出ると南には三ツ沢公園が隣接している。「藤棚広場」から「八幡広場」にかけてのあたりは高所にあたるためか、南西側の道路を走る車の音がけっこう響いている。これが少しばかり難点であるかもしれない。
「豊顕寺市民の森」は面積2.3ヘクタールほどで、広さの点で言えば少々こぢんまりとした印象もあるが、市街地の中にあってひっそりと緑豊かな空間を保っており、散策は楽しい。「豊顕寺市民の森愛護会」によって整備が行われているようで、荒れた様子はまったくなく、端正に整えられている印象があった。桜の名所として知られている他に、秋の紅葉や初夏の紫陽花なども見事であるらしい。基本的には地元に暮らす人たちのための場所だと思うが、四季折々に見せてくれる美しい表情を目当てに訪ねてみても後悔しないだろう。
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