東京都あきる野市の都立小峰公園は雑木林の丘陵を中心に、里山の風景を残した公園だ。緑濃い風景が魅力の公園だが、広場の一角には紫陽花も植えられており、梅雨の時期に園内を彩ってくれる。紫陽花が見頃の六月半ば、小峰公園を訪ねた。
東京都あきる野市の都立小峰公園は11haほどの面積を有し、そのほとんどを雑木林の丘陵が占める自然溢れる公園だ。園内には尾根と尾根との間の谷戸地を利用した広場が二カ所設けられており、その広場脇に紫陽花が植えられている。それほど数は多くないが、梅雨の時期のしっとりとした緑の中に紫陽花の花が季節の風情を漂わせる。
ビジターセンターの裏手の斜面にアジサイが咲いている。斜面の少し高いところに咲いているから、見上げるように観賞することになるが、それはそれでなかなか美しい景観だ。まずはこのアジサイを見ておこう。
ビジターセンターから右手(西)へ進んでいくと「ふれあい広場」が設けられている。小峰公園のメインとなる広場だ。この広場の西側(奥に向かって右手)の園路に沿ってアジサイが植えられている。さまざまな品種が数多く植えられているというわけではないが、アジサイに彩られた園路が風趣に富んだ風景を見せている。アジサイの咲く風景を楽しみながらのんびりと散策するのがお勧めだ。
「ふれあい広場」の奥、田んぼの設けられた辺りから西側の尾根の「桜辻」へ上がる坂道があるが、この坂道脇にも少しだけアジサイがある。坂道は狭く、道脇から枝を伸ばしたアジサイに行く手を遮られるような場面もあって楽しい。上から見下ろすのもいいが、やはり下から見上げる光景が美しい。
ビジターセンターから左手(東)へ進み、いったん都道32号へ出て少し南へ行くと、谷戸の地形を利用した「けやき広場」と「冒険広場」が設けられている。木々に包まれてひっそりとした広場だ。谷戸の奥に設けられた「冒険広場」の東側の丘裾にアジサイが植えられている。こちらも数はそれほど多くなく、珍しい品種があるわけでもないが、木々の茂った斜面の下に並ぶアジサイの姿が美しい。
小峰公園のアジサイは数も少なく、あくまで“植えられている”という程度で、見応え充分とは言い難い。アジサイを目当てに訪れる少し期待外れな思いをするかもしれない。梅雨の時期の小峰公園の魅力は、深緑の木々に包まれた、しっとりとした空気感だ。そこにアジサイが色を添えてくれている。曇天や小雨の中の風景も情趣に富んで美しい。季節を風情を味わいながらの散策がお勧めだ。
本欄の内容は小峰公園関連ページ共通、2025年4月現在の状況です
鉄道で訪れる場合は、JR五日市線武蔵五日市駅が最寄りだ。駅から小峰公園ビジターセンターまで約1.7km、徒歩で30分弱といったところか。
JR武蔵五日市駅とJR・京王八王子駅とを結ぶバス路線を利用して「小峰公園」バス停で下車すれば、ほぼ目の前が小峰公園だ。ただし便数が少なく、一時間に一本程度の運行だ。
小峰公園には来園者用無料駐車場が用意されており、車での来園も便利だ。JR武蔵五日市駅近くから都道32号を南下、八王子市街から向かう場合は都道32号を五日市方面へと向かえばいい。遠方から訪れる場合は圏央道の日の出ICやあきる野ICを利用するのが便利だ。
小峰公園にはレストランやカフェなどは併設されていない。周辺にも飲食店やコンビニエンスストアなどはない。飲食店を探すならJR武蔵五日市駅周辺へ移動しよう。
小峰公園は自然溢れる公園で、お弁当を持ってピクニック感覚で訪れるのがお勧めだ。レジャーシートを持っていこう。
小峰公園周辺の留原地区は長閑な里山風景の広がるところだ。公園から周辺へと散策の足を延ばしてみるのも楽しい。北へと下りていけば秋川が流れている。河原はバーベキュー場として賑わうところだ。
秋川を渡れば五日市の町だ。町歩きの好きな人なら五日市の町を散策してみるのもいい。五日市の町を抜ける
檜原街道は百日紅の並木
で、夏には美しい景観になる。夏の散策も悪くない。
小峰公園(東京都公園協会)
小峰公園
早春の小峰公園
夏の留原
檜原街道 百日紅並木