東京都あきる野市の小峰公園は雑木林の丘陵地を中心に構成された自然溢れる公園だ。中央部の「桜尾根」には桜が多く植えられ、春には美しい景観を見せる。桜が見頃の四月上旬、小峰公園を訪ねた。
東京都あきる野市の小峰公園は10haを超える面積を有する都立公園で、そのほとんどを雑木林の丘陵が占め、谷戸の地形を利用した広場も設けられている。その中央部を南北に延びる尾根筋は「桜尾根」と呼ばれ、その名のように桜が多く植えられ、春には見事な景観を見せる。「多摩川 夢の桜街道 八十八カ所巡り」の一つにも名を連ねるなど、桜の名所として知られている。
桜尾根には300本を超える桜が植えられているという。1928年(昭和3年)に地元留原の青年団の人たちが中心となり、寄付を募るなどして桜の苗木が植樹されたのだそうで、“桜山”と呼ばれて親しまれてきたという。その“桜山”が、現在は都立小峰公園の桜尾根として残っているというわけだ。それからすでに年月を経て、傷んできた樹もあったため、2010年(平成22年)にも植樹が行われたそうだ。
桜尾根の尾根道を辿れば両脇にヤマザクラやソメイヨシノの大木が並ぶ。どの桜も年月を経て大きく育ち、見応えのある姿で咲き誇っている。尾根という地形のためか、桜の枝振りも平地の桜とは違っているように見える。広い公園の桜の林や桜並木とは景観の印象が異なり、“桜の咲く尾根”の風趣というものを感じさせるのがいい。
桜尾根はほぼ南北に延び、南が高く北に低い。南側から尾根を登れば逆光の中に桜が浮かび、北側から尾根を下れば桜は順光を浴びて輝く。のんびりと尾根を辿って、その双方の景観を楽しみたい。逆光の桜も良いものだが、やはり春の青空を背景に順光を浴びる桜が、前方に視界が大きく開けるのも手伝って晴れやかな印象で美しい。
桜尾根の尾根道を歩いて桜を堪能した後は、尾根下の広場から尾根の桜を見上げるのもお勧めだ。桜尾根の西側に設けられた「ふれあい広場」から桜尾根の桜が見える。もちろんすべての桜が見えるわけではないが、春の青空を背景に見上げる桜は素晴らしい春景色だ。桜の下を歩くのも楽しいものだが、こうして“桜の咲く風景”の美しさを楽しむのもいいものだ。
「ふれあい広場」の奥、南側には谷戸田が残されている。その谷戸田の脇にも桜があり、谷戸田の風景と相まって“里の春”という風情だ。谷戸田のすぐ脇で咲くのはソメイヨシノか。その上、斜面林の中で日差しを浴びる桜はヤマザクラだろう。奥に向かって左手、東側の尾根へには桜尾根の桜が見え隠れする。美しい風景だ。
桜尾根の北端には八坂神社が鎮座している。八坂神社の境内にもヤマザクラがある。社と桜の組み合わせも風趣に富んだ風景だ。公園のサービスセンターから八坂神社に上がる園路脇にも桜が咲いている。園路を登りながら見上げる景観が美しい。
春の小峰公園は桜尾根を中心にさまざまな桜の咲く風景を楽しむことができる。八坂神社から桜尾根、「ふれあい広場」へとのんびりと辿りながら桜が見せる春の風景を味わっていきたい。桜に覆われた広場や延々と続く桜並木といった桜の名所とは違った、野趣を感じさせる桜の風景だ。お花見を兼ねた春のハイキング感覚で訪れるのがお勧めだろう。
本欄の内容は小峰公園関連ページ共通、2025年4月現在の状況です
鉄道で訪れる場合は、JR五日市線武蔵五日市駅が最寄りだ。駅から小峰公園ビジターセンターまで約1.7km、徒歩で30分弱といったところか。
JR武蔵五日市駅とJR・京王八王子駅とを結ぶバス路線を利用して「小峰公園」バス停で下車すれば、ほぼ目の前が小峰公園だ。ただし便数が少なく、一時間に一本程度の運行だ。
小峰公園には来園者用無料駐車場が用意されており、車での来園も便利だ。JR武蔵五日市駅近くから都道32号を南下、八王子市街から向かう場合は都道32号を五日市方面へと向かえばいい。遠方から訪れる場合は圏央道の日の出ICやあきる野ICを利用するのが便利だ。
小峰公園にはレストランやカフェなどは併設されていない。周辺にも飲食店やコンビニエンスストアなどはない。飲食店を探すならJR武蔵五日市駅周辺へ移動しよう。
小峰公園は自然溢れる公園で、お弁当を持ってピクニック感覚で訪れるのがお勧めだ。レジャーシートを持っていこう。
小峰公園周辺の留原地区は長閑な里山風景の広がるところだ。公園から周辺へと散策の足を延ばしてみるのも楽しい。北へと下りていけば秋川が流れている。河原はバーベキュー場として賑わうところだ。
秋川を渡れば五日市の町だ。町歩きの好きな人なら五日市の町を散策してみるのもいい。五日市の町を抜ける
檜原街道は百日紅の並木
で、夏には美しい景観になる。夏の散策も悪くない。
小峰公園(東京都公園協会)
小峰公園
早春の小峰公園
紫陽花の咲く小峰公園
山百合の咲く小峰公園
夏の留原
檜原街道 百日紅並木