佳景探訪
平井川下流域の桜並木
東京都日の出町からあきる野市へと平井川という河川が流れている。平井川が多摩川に注ぐ直前の下流域には見事な桜並木がある。川の両岸を彩る桜は圧巻の景観だ。桜が満開の三月末、平井川下流域の桜並木を訪ねた。



平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
東京都日の出町のほぼ中央を貫いて平井川という河川が流れている。平井川は日の出町と青梅市との境にある日の出山の麓に源を発し、日の出町を貫くように東へ流れ、圏央道の下辺りであきる野市の市域に入り、やがてJR五日市線が多摩川を渡る辺りで多摩川に注いでいる。

多摩川に注ぐ直前の平井川下流域、平高橋から多西橋までの約1kmの区間、河岸には桜並木が延びる。桜はそれほどの古木というわけではないようだが、大きく育って枝を広げており、満開を迎えれば圧巻の景観を見せる。桜並木の下には河岸の遊歩道が辿り、見事な桜景色を味わいながらの散策が楽しめる。

桜の咲く風景を楽しみたい人、桜並木の圧巻の景観を楽しみたい人ならぜひとも訪れるべきところだが、意外なほど知られておらず、花見に訪れる人の姿もあまりない。“花見の穴場”と言っていい。“花見には行きたいが人混みは嫌い”という人には特にお勧めだ。


平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
JR五日市線東秋留駅から多西橋を目指そう。駅前から東へ300mほどで都道168号へ出る。都道168号を北へ折れ、二宮神社の前を過ぎて200mほどで都道7号との丁字路交差点。右(東)へ折れて200m近く進んだところで北へ向かう細道に入り込む。住宅地となった中を200mほど進むと緩やかに下り坂になって平井川河岸へと降りてゆく。その坂道の途中、見事な桜が出迎えてくれる。坂道を下りきって視界が開けたら「平沢」交差点、目の前が多西橋だ。
平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
多西橋の上から平井川河岸の桜並木が見える。橋の上からは特に左岸側(北側)の並木がよく見える。満開の桜が日差しを浴びて輝き、緩やかな弧を描いて視界の奥へ消える。その姿に惹かれて左岸側の遊歩道へと歩を進めよう。

遊歩道から見る桜並木は橋の上からの眺めとはまた違った表情だ。平井川は護岸工事が施されており、“川の風情”という点では物足りなさもあるが、その代わり河原近くを歩くこともできる。河原近くへと降りて進んでゆけば、対岸の桜並木もよく見える。逆光を弾いて輝く桜並木が現実とは思えないほどの美しさだ。桜は早くもピークを過ぎつつあるのか、風が吹くたびにはらはらと花弁が舞う。その様子も美しい。

河岸を辿る遊歩道にはところどころにベンチが置かれている。ベンチは川に向かって据えられ、腰を下ろせば対岸の桜を眺めつつ、頭上も桜が覆い、桜に包まれてひとときを過ごせる。
平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
多西橋から400mほど辿ると河岸の遊歩道から河原に降りて行けるように石段が設けられている。降りたところには広場ば設けられており、広場から両岸の桜並木が見渡せる。上流側はちょうど平井川が大きく蛇行するところで、広場から見ると川は北へ、すなわち右方向へと曲がってゆく。それが景観に表情を与えている印象だ。広場横の河床にはカスケード状に差が設けられ、段差を流れ落ちる水の表情と桜並木との取り合わせが風趣に富んだ景観を見せる。段差下流側には飛び石が置かれており、飛び石を伝って対岸へ渡ることもできるのが楽しい。
平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
平井川は大きく弧を描きながら流れてゆく。それを上流側へと辿っていこう。やがて平井川の蛇行は逆向きとなって、下流側から見れば左方向へと曲がってゆく。この辺りでは平井川左岸はコンクリートの護岸の随所に石段が設けられており、川面近くまで降りてゆくことができる。護岸の中ほどには広く造られた部分があり、歩いて辿ることも可能だ。この辺りは左岸側の住宅地からのアクセスが容易なこともあってか、花見の人の姿も少なくない。

この付近から上流側に向けて、平井川は大きく左へ曲がる。その曲がりに沿って桜並木も弧を描き、日差しを浴びた景観がひときわ見事だ。さらに上流側へ向かえば、そろそろ平高橋が見えてくる。河岸の遊歩道へと戻って平高橋へと向かおう。
平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
平高橋は1989年(平成元年)11月に竣工した。平井川を跨いで北側のあきる野市草花と南側のあきる野市平沢を繋いでいる。とは言っても平井川の南北を結ぶ主要ルートではなく、交通量は少なく、橋の幅員もそれほど広くはない。

平高橋は青緑色に塗られた姿が印象的な橋だ。上部にアーチを持つアーチ橋の一種だが、アーチ構造が直線を繋いだものになっているからランガー橋と呼ばれる構造だろう。北側が高いため、橋は傾斜を伴っており、さらに流路に対して角度を持って架けられているために左右のアーチの位置が少しずれていて、左右のアーチを繋ぐ構造が歪みを伴っているのがおもしろい。

平高橋は美しい橋で、橋そのものが観賞に値するものと言っていい。橋上からアーチ構造を眺めたり、河岸から全容を眺めたり、その姿をよく見ておきたい。

平井川の桜並木は、この平高橋までだ。平高橋から多西橋までの約1kmの区間、平井川の両岸に桜並木が延びている。平高橋からも桜並木がよく見える。特に北側の端からの眺めは見事なものだ。橋上からの眺めも楽しんでおきたい。
平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木

平井川下流域の桜並木
平高橋を渡って平井川の右岸(南側)へと移り、右岸に沿った遊歩道を今度は下流側へと辿っていこう。右岸側は左岸側より岸辺に緑が多く、さらに穏やかな印象の景観の中で散策が楽しめる。陽光を浴びて輝く桜並木は美しく、辿るほどにさまざまな表情を見せて飽きない。左岸側を歩いていたときに対岸に見えていた景色の中を歩く。

やがて大きな蛇行部分を過ぎると、右岸側は河岸より一段高い台地を成しており、川に面した崖地には湧き水もある。湧き水を集めた小さな池もある。そんな様子を楽しみながら辿ってゆけばやがて多西橋だ。

右岸側と左岸側とでは遊歩道の表情が微妙に違う。のんびりと散策を楽しむなら右岸側、河原の広場などにシートを広げてランチタイムを楽しむなら左岸側が適しているだろう。余裕を持って両岸の遊歩道を歩いてみるのがお勧めだ。




福生市の多摩川堤防桜並木

福生市の多摩川堤防桜並木
多西橋からそのまま東へ向かい、多摩橋で多摩川を渡れば福生市だ。そのまま福生市の桜名所として知られる多摩川堤防桜並木へと散策の足を延ばすのもお勧めだ。福生市の市営プール周辺の桜が多摩橋の上からも見えている。多摩橋周辺は福生市の多摩川堤防桜並木の北端部に近い。ここから桜並木に沿って南へと辿ってゆけば、桜並木の景観は次第に見応えのあるものになってゆく。多摩橋から睦橋まで約2km、素晴らしい桜並木が続く。時間と体力に余裕があればぜひとも併せて歩いておきたい桜並木だ。
参考情報
交通

平井川の桜並木はJR五日市線東秋留駅が最寄りだ。上流側の平高橋も下流側の多西橋も東秋留駅から1kmと少し、徒歩で20分ほどだ。駅から平高橋へはルートが少しわかりにくいので注意されたい。

周辺には時間貸しの駐車場は無い。東秋留駅周辺にも一箇所あるだけ(2018年春現在)で、規模も小さい。車で来訪したい場合は隣駅の秋川駅周辺の民間駐車場に車を置き、秋川駅から東秋留駅までJR五日市線を利用するのが賢明だろう。

飲食

花見を兼ねてのんびりとランチタイムを過ごすなら、お弁当持参がいい。河岸の広場に場所を見つけてシートを広げればいい。

周辺には飲食店はほとんどない。飲食店は秋川駅周辺や拝島駅周辺に移動して探すのがいいだろう。

周辺

多西橋から多摩橋を渡って多摩川の左岸側へと歩を進めれば、福生市の多摩川堤防桜並木だ。多西橋から福生市の桜並木まで数百メートルしかない。平井川の桜並木と併せて花見散歩を楽しむのがお勧めだ。

平高橋からさらに平井川の上流へと辿れば1kmほどで草花公園がある。草花公園の500mほど南側には都立秋留台公園がある。秋留台公園は平高橋から1.5kmほど、東秋留駅からは1kmほどだ。秋留台公園も桜が美しい。余裕があれば併せて訪ねてみるといい。

平井川下流域の桜並木
平井川下流域の桜並木

関連する他のウェブサイト

関連する他のコンテンツ


桜散歩
東京多摩散歩