佳景探訪 - 草花公園（東京都あきる野市）

市民球場の東側には小さいながらも広場が設けられている。広場は草はらで、ところどころに樹木が枝を広げて木陰を落とし、穏やかな空間を成している。広場脇の遊歩道ではムクゲが花を咲かせている。

市民球場の南側から広場の南側にかけて“せせらぎ”も造られている。“せせらぎ”は水もきれいで、水辺の植物が育ち、里山の小川を彷彿とさせる造りだ。“せせらぎ”ではイトトンボの姿を見つけることができた。その“せせらぎ”が広場横の池に注いでいる。池の岸辺には水面に張り出すように木製のデッキが設けられ、その上に四阿が建てられている。池越しに見る四阿の景観がなかなか良い風情だ。

公園のすぐ北側には平井川が流れているが、広場の傍らから「はるか橋」という橋が平井川を跨いで対岸に繋いでいる。「はるか橋」は木造の人道橋で、1998年（平成10年）に竣工したものという。茶色の小橋は周囲の景観にもうまく馴染んでいる。「はるか橋」から眺める平井川の景観もなかなか美しいものだ。緑濃い風景の中、夏空の下を流れる平井川は涼やかな夏の風情だ。「はるか橋」を渡った対岸も小公園のように整備されているのだが、こちらも草花公園の一部なのかもしれない。

「はるか橋」の下辺りの平井川は川遊びができるように整備されており、対岸側の「はるか橋」袂から河原に下りてゆくことができる。訪れたときにも小さな子どもたちがお母さんに連れられて遊んでいた。何組かの親子が一緒にやってきたらしい。水遊びの子どもたちを見守る役目と河原でのバーベキューを準備する役目と分担して、そろそろランチタイムのようだ。

「はるか橋」の少し上流側、平井川には石を“堰”のように組んだものが階段状に設置されており、その“堰”が小さな子どもたちの水遊びには絶好の場所のようだ。子どもたちは浮き袋につかまって流れに身を任せている。“堰”を越えるときがスリリングらしく、子どもたちは大喜びで歓声を上げている。ちょっとした“急流下り”、あるいはラフティングの“ミニチュア版”のようなものか。見ていて微笑ましい。

平井川の河岸には右岸側にも左岸側にも遊歩道が設けられている。平井川の流れを眺めながら散策してみるのも楽しい。

草花公園横の平井川では川遊びが楽しめるが、あくまで小さな子どもたちのための水遊び場所という位置付けだろう。水遊びに訪れるときには着替えなどを準備しておこう。

草花公園はJR五日市線秋川駅から少し距離があり、徒歩で30分ほどかかるだろうか。駅から歩くのなら滝山街道（国道411号）を北進し、途中で東に折れて進むか、五日市街道（都道7号）を東進し、都立秋留台公園南西側の「秋留台公園西」交差点で北に折れて南北道路を北上するのがわかりやすい。

バスなら平井川北側の都道165号の「西草花」バス停が公園へ至近だ。秋川駅と福生駅を繋ぐ路線や、福生駅と五日市方面とを繋ぐ路線が通っている。

駐車場は球場や市民プール利用者用のものが用意されており、駐車台数にも比較的余裕がある。球場や市民プールを利用せずに駐車場だけを利用するのは気が引けるが、公園利用ということでＯＫだろうか。そのあたりは利用する方の自己判断でお願いしたい。

公園内には飲食店や売店などはない。市民プールの管理棟にドリンク類の自動販売機が設置されている程度だ。周辺にも飲食店は無く、草花公園でランチタイムを過ごそうというときはお弁当持参がいい。秋川駅周辺のお店でテイクアウトのものを調達してきてもいいだろう。広場や平井川の河原の木陰にシートを敷いてのアウトドアランチは楽しいひとときだ。

草花公園から南北道路を南に15分ほど歩けば東京都立の秋留台公園がある。秋留台公園も競技場を置いた公園だが、植栽された木々が美しく、初夏にはバラも楽しめる。散策の足を延ばしてみるのといい。秋留台公園の周辺は秋留台地に広がる畑地の風景だ。秋川駅から秋留台公園を経て草花公園まで、のんびりと散策するのもお薦めだ。

草花公園から平井川を渡って北東側へと進めば「草花丘陵自然公園」だ。体力と時間に余裕があれば、「草花丘陵自然公園」を経て福生駅を目指してもそれほど遠い距離ではない。また草花公園は東京都が整備する散策ルート「武蔵野の路」の「日の出コース」の一部になっている。「武蔵野の路」のルートを参考にして散策してみるのもいい。

桜の季節なら平井川の下流域へと足を延ばしてみるのもお勧めだ。草花公園から約1kmで平高橋、平高橋から多西橋までの約1km、見事な桜並木が続く。