日南海岸風景
宮ノ浦
宮ノ浦
国道448号を南下し、恋ヶ浦を過ぎて「恋ヶ浦トンネル」を抜けると、小さな漁港を抱えた集落に至る。この集落を「宮ノ浦」という。昔、鳥羽上皇が船でこの地を訪れたという伝説があり、それが「宮ノ浦」の地名の起こりであるともいう。両脇を岬に挟まれた入江を成しているために良港としての地形の利があり、古くから人々の営みがあったのだろう。今では小さな海辺の集落だが、鄙びた佇まいの中に郷愁を誘われ、のんびりと歩いてみるとなかなか楽しい。
宮ノ浦
宮ノ浦の集落は三方を山に囲まれた谷間にあり、中央を流れる宮ノ浦川の河口部の河畔に家々が密集し、川の上流部河畔のわずかな平地に水田を抱えている。川の両岸に道路が抜けて、その道沿いに家々が並ぶ。川沿いに並ぶ家々の中には小さな商店もあるが、大きなスーパーなどはない。道にはガードレールもなく、道幅も車一台が通れるほどしかないが、そうした佇まいものどかな印象があって楽しい。

夏の午後、強い日差しを避けてか、地元の人たちの行き交いもあまりない。ときおり自転車や原付のバイクでゆっくりと走り抜ける人の姿があるくらいだ。もちろん観光地でもないから観光客の姿も無い。小さな集落で、のんびりと歩いてみてもすぐに一回りできてしまう。川沿いに並ぶ家々の佇まいなどを眺めながら歩くのは楽しい。古い造りの家が低くできているのは、台風などの際に強風による被害を防ぐ目的があったのだろうか。ところどころで川を跨ぐ小さな橋の姿もいいし、川の描く緩やかな曲線の様子もいい。夏の日差しを浴びて静かに横たわる集落の様子は懐かしさを誘うような興趣がある。
宮ノ浦
宮ノ浦 宮ノ浦
宮ノ浦
漁港は、集落の規模から考えれば比較的大きな印象を受けるが、波一つない港湾内には数隻の漁船が浮かんでいるだけだ。漁港の片隅に「漁村広場」と名付けられた公園のような場所があり、駐車場も設けられている。この公園で遊ぶ小さな子どもの姿があった。岸壁から防波堤の向こうに見える岬は小崎という。夏の青空を背景にした緑のシルエットが美しい。
宮ノ浦
恋ヶ浦からトンネルを抜けてきた国道448号は「宮ノ浦大橋」という橋梁によって宮ノ浦川の河口部を一跨ぎし、南側の山肌に沿って再び上ってゆく。日南市方面から南下して都井岬を目指す人たちは、この道路を使って宮ノ浦の集落をバイパスしてゆくわけだが、1979年(昭和54年)にこの橋梁が完成するまで、都井岬に向かうにはこの宮ノ浦の集落の中を抜けなくてはならなかった。川沿いのガードレールの無い細道を、観光客の車やバスが行き交った。普通車同士でのすれ違いもままならない状況だから、バスと出会うとたいへんだった。車を運転する立場としては、都井岬へのドライヴの際の「難所」のひとつと言ってよかった。今ではほとんど車が通り抜けることもなくなった川沿いの道を歩きながら、そんなことを懐かしく思い出した。
宮ノ浦
INFORMATION
宮ノ浦
【所】串間市大字大納
【問】串間市観光物産協会
このWEBページは「日南海岸散歩」内「日南海岸風景」カテゴリーのコンテンツです。
ページ内の写真は2003年夏に撮影したものです。本文は2010年8月に改稿しました。