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棚田の並ぶ横の道路を最上部まで歩くと相応の距離があるが、棚田の風景や石垣の佇まい、その向こうに横たわる山々を眺めながらの散策はなかなか楽しい。棚田の石垣は自然石と大石を割ったものを積み上げたものだそうだが、なかなか難しいものだそうで、初めのころには専門の技術者を雇って工事を始めたと解説板に書かれている。やがて地元農家の人々が見よう見まねで技術を習得し、途中からは地元の人々が中心になって工事が進んだという。石垣に積まれたさまざまな形状の石を見ながら、棚田造成に汗を流した人々の姿に想いを馳せるのも楽しい。
日南市の平野部あたりでは4月初めに田植えをして7月終わりから8月初めにかけて稲刈りをする早期作が通常だが、酒谷あたりでは6月初めに田植え、10月初めに稲刈りという一般的な耕作が行われている。夏に棚田を訪れると青々と稲の育った水田の風景を見ることができる。田植え直後の水田の風景や、秋の黄金に実った風景なども美しいものだが、夏の日差しの下に輝く稲の様子もとても美しい。
道を上ってゆくと、次第に周囲に視界が広がり、やがて棚田のほぼ全貌とその周囲に重なる山々の風景を一望する。この風景がとても素晴らしい。棚田の佇まい自体も美しいものだが、その棚田が山間の斜面に横たわり、それを深い山並みが囲んでいるという風景は、それでひとつの芸術作品として成り立つほどの美しさがある。街の暮らしに慣れた人々にとって、この風景こそ郷愁を誘って心和むものなのではないかという気がする。絶景、と言って差し支えない。
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