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酒谷地区は現在でも過疎化と住民の高齢化は進んでいるという。そうした状況に危機感を抱いた地元若者有志によって、「やっちみろかい酒谷」という地域興しグループが組織されたのは1994年(平成6年)のことだった。「やっちみろかい」とは、「やってみようか」という意味の方言で、「何事にも挑戦してみよう」という思いを込めたネーミングであるという。自然溢れる故郷の活性化のため、「やっちみろかい酒谷」は坂元棚田でのれんげ祭りや小布瀬の滝祭り、オカリナコンサートといったさまざまな活動に取り組んでいる。忘れ去られようとしていた大谷石橋を復活させたのも「やっちみろかい酒谷」だ。その努力の甲斐あってか、近年の酒谷地区は何やら活気に溢れているような印象がある。
かつて酒谷と言えば辺鄙な片田舎というイメージがあった。山深く、交通は不便で、その中で人々が細々と暮らしを営んでいるという印象があった。有るものと言えば重畳する山々とその谷間に流れる川だけだった。しかし、そのことこそが、実は酒谷の魅力であり、財産であり、誇りではないのか。その中に暮らす人々にはそれなりに苦労もあり、不便もあるのだろう。自分たちの暮らす土地が如何に素晴らしいものであるのかということにはなかなか思いが及ばないものかもしれない。しかし、坂元棚田の最上部に立って、そこからの雄大な景観を見下ろすとき、つくづくと思う。この幾重にも重なって連なる緑の山々の美しさはどうだ。その潔く清涼な佇まいの美しさはどうだ。この美しさこそが酒谷の誇るべきものではないのか。忘れ去られようとしていたのは、古い石橋だけではなかったのかもしれない。
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