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相模原市南区下溝
相模原公園
June 2019
相模原公園
相模原公園は規模の大きな神奈川県立の公園だ。公園全体が都市緑化植物園としての意味合いもあるということで、特に花々や緑に親しむ施設が充実している。芝生の広場やフランス式庭園、花菖蒲園などを有する公園は広々とした開放感が素晴らしく、相模原市立の相模原麻溝公園が隣接していることもあって多くの利用者で賑わっている。
相模原公園
相模原公園は面積26ha(2019年現在)を有する広大な県立公園だ。かつての座間小銃射撃場跡地を中心に周辺の樹林や桑畑などを買収して整備し、1979年(昭和54年)に開園した。南側には相模原市立の相模原麻溝公園が半ば一体化するように隣接し、その両者を合わせてひとつの大きな公園として機能していると言ってもいい。

1992年(平成4年)に開催された「第9回全国都市緑化かながわフェア」ではメインの会場となり、その際に相模原麻溝公園とともに全面的に再整備がなされ、以後、細部の改良や拡張などを重ねて現在に至っている。

広大な敷地内には芝生の広場やフランス式庭園、温室、花菖蒲園などが設置され、緑と花々に溢れた公園として市民、県民に愛されている。
相模原公園
相模原公園「みんなの花壇」
公園の西側、駐車場に面して設けられた「クスノキゲート」が相模原公園のメインエントランスという位置付けだろう。ゲートの先はちょっとした広場になっており、その一角、入口横の北側に管理事務所が置かれ、軽食の可能な売店も設けられている。

ゲートに相対するように「みんなの花壇」と名付けられた花壇がある。花壇前に印象的にベンチが置かれ、緑の木々を背負って美しく、いかにも“ウェルカムゲート”という佇まいだ。花壇には四季折々にさまざまな花が植えられており、常に美しく整備されている。

相模原公園「芝生広場」
「みんなの花壇」の先には「芝生広場」が横たわっている。“圧倒的に広い”というほどではないが、広々とした開放感が素晴らしい。広場は平坦ではなく、わずかに中央部が盛り上がるように起伏があり、それが広々とした雰囲気を倍加させているように感じる。広場の周囲は木立が取り囲んでおり、開放感と共に適度な“包まれ感”があるのもいい。

休日になれば木陰にシートを広げてくつろぐ家族連れの姿も多い。広場を駆け回る子どもたちの歓声は、この公園の魅力を象徴するものだろう。

この「芝生広場」、中央部でさりげなく仕切られているのだが、そこから西側(クスノキゲート側)の半分は犬を連れての入場が禁止されているエリアだ。犬を連れて来園した際には注意されたい。

相模原公園「森の木展望台」
「芝生広場」の北側(奥に向かって左手)、木立の中にまるで童話の絵本に登場するような意匠の塔の姿が見える。「森の木展望台」という。

「森の木展望台」はもちろん内部に入ることができ、“展望台”という名が示すように塔の上部からは「芝生広場」を見下ろすことができる。もちろんそれほどの高さはないから、遠くまでの眺望が望めるわけではないが、少し高くなった視点で広場の風景を眺めるのも楽しいものだ。塔上部の展望台も、階段途中に設けられた窓も凝った意匠でデザインされており、子どもたちにとっては絶好の遊び場のようだ。

相模原公園「遊具広場」
「森の木展望台」の横には小さな子どもたちのために複合遊具が設置されており、さらに北側には園路を挟んで「遊具広場」が設けられ、ここにも複合遊具が置かれている。遊具は特に凝ったものではなく一般的なものだが、小さな子どもたちには充分なものだろう。

「芝生広場」と「森の木展望台」、さらにこれらの遊具類とで、この周辺は子ども連れの家族にとっても魅力的なエリアとして機能しているように思える。ちなみに「森の木展望台」と「遊具広場」も犬を連れての入場が禁止されているエリアなので、犬連れの人は注意されたい。

相模原公園「紅葉の丘」
「芝生広場」の北東側には「紅葉の丘」が設けられている。要するに樹林地で、林の中を縫って散策路が延びている。カエデ類の樹木も植えられており、隣接する「見本庭園」と合わせて、晩秋には美しい紅葉が楽しめるところだ。そこから「紅葉の丘」と名付けられたのだろう。

落葉樹の多い樹林は春から初夏には新緑が清々しく、夏には滴るような深緑に満たされる。木々の息づかいを感じながらのんびりと樹林散歩を楽しむのもお勧めだ。
相模原公園
相模原公園「噴水広場」
「芝生広場」を中心としたエリアの東側には「噴水広場」や大温室などを設けたエリアが南北に細長く横たわっている。

北側は「噴水広場」で、3基の噴水を中心にして周囲に花壇や植え込みを設けて整備されている。シンメトリックなデザインは、“フランス式庭園”を思わせ、両脇に並ぶメタセコイア並木と共に美しい景観を見せる。その整然として端正な美しさは相模原公園の最大の魅力と言っていいのではないか。その庭園美や噴水を楽しみながら園路を巡り、その後はベンチに腰を下ろしてのんびりとしたひとときを過ごすのもいい。素敵な時間を過ごすことができる。

相模原公園「噴水広場」
「噴水広場」の北端部には広場を一望するように展望テラスが設けられている。そこから「噴水広場」を眺めれば噴水や水路、植え込みなどを幾何学的に配した広場が両脇のメタセコイア並木と共に視界の奥へと延び、その先には大温室があり、さらにその背後には隣接する相模原麻溝公園のグリーンタワーの上部が見えている。視界のすべてが奥の大温室に向かって収束していく風景が何とも美しい。

おそらく(個人的な推測だが)奥に見える大温室とグリーンタワーを宮殿に見立ててフランス式庭園を模したデザインなのだろう。素晴らしいデザインである。相模原公園を訪れた際にはぜひとも見ておきたいものと言っていい。

相模原公園「噴水広場」
「噴水広場」に設置された3基の噴水は、当然のことながらそれぞれが時間の経過と共に噴き上げる水の形を変える。見ていると飽きない。北端部の展望テラスから眺めるのもいいし、それぞれの噴水の横で間近に楽しむのもいい。あるいは南側から眺める景観も表情が変わって楽しめる。

形を変える噴水を楽しみながら広場の中の園路を巡っていると時の経つのを忘れる。その涼やかな光景に加えて、噴水の近くでは風向きによっては飛沫がかかることもあって、初夏から夏にかけての散策がお勧めだ。

相模原公園「サカタのタネグリーンハウス」
「噴水広場」の南側には大温室が建っている。ネーミングライツが採用されて「サカタのタネグリーンハウス」の名で呼ばれる施設だ。「サカタのタネグリーンハウス」そのものは入館無料だが、「トロピカルガーデン」と「カクタスガーデン」は有料エリアになっていて所定の入場料が必要だ。南国の花々やサボテンに興味のある人はぜひとも入館して見学しておきたい。二階には展望室が設けられており、眼前に「噴水広場」を眺めることができる。美しい眺めだ。カフェも設けられているので、公園散策途中での一休みにも好適だろう。

相模原公園「リリちゃん橋」
「サカタのタネグリーンハウス」の南側には相模原市立の相模原麻溝公園が隣接している。一般道によって隔てられているが、「リリちゃん橋」という人道橋が架けられて自由に行き来が可能だ。相模原麻溝公園も芝生広場やフィールドアスレチック、ふれあい動物園などの施設を有する充実した公園だ。時間が許せば併せて楽しむのがお勧めだ。

「リリちゃん橋」の名はは1992年(平成4年)に開催された「第九回全国都市緑化かながわフェア」のマスコットである「リリちゃん」に因んだものだ。「リリちゃん」は神奈川県の県の木「いちょう」と県の花「やまゆり」をモチーフにしたもので、みどりの「リ」とヤマユリの「リ」から名付けられた。「第九回全国都市緑化かながわフェア」は相模原公園と相模原麻溝公園を会場に開催され、「グリーンウェーブ相模原’92」という愛称が付けられていた。
相模原公園
相模原公園「水無月園」
公園の南西部、「クスノキゲート」から入園してすぐに右手(南側)に歩を進めて一般道を「水無月橋」で渡った先には、分園のように区画を設けて「水無月園」と名付けられた花菖蒲園が置かれている。「水無月園には118種約22000株の花菖蒲が育てられ、6月の花期には見事な花菖蒲を楽しむことができる。修景にも気を遣って造られた「水無月園」は園内の景観も美しく、しっとりとした風情を感じながらの散策が楽しめる。花菖蒲の盛りの時期にぜひ訪れてみたいところだ。

水道みち
「水無月園」の南側を東西に延びる舗道は「水道みち」である。1859年(安政6年)に横浜が開港すると、横浜は急激に人口が増加、安全で清潔な水の安定供給の必要に迫られ、近代水道の敷設が計画される。

上水道の敷設を任されたのは英国人技師のヘンリー・スペンサー・パーマーである。パーマーの指揮の下、相模川上流部に水源を定めて横浜まで通水する工事が行われ、1887年(明治20年)、日本初の近代水道「横浜水道」が完成するのである。約44kmの水道はレールを敷いてトロッコを走らせて資材を運搬したという。その名残が、この「水道みち」である。横浜市西区の野毛山公園にある野毛山配水池は「横浜水道」開通時の浄水場の跡で、傍らにはヘンリー・スペンサー・パーマーの胸像が建てられている。

「水無月園」横から少し東に進んだ辺り、女子美術大学相模原キャンパスを「水道みち」が横切るところに「水道みち」についての案内パネルなどが設置されている。興味のある人は見てみるといい。「水道みち」の地下には今も直径約1.5mの水道管が通っている。
相模原公園
相模原公園せせらぎの園地区
「水道みち」を西側へ降りてゆくと、すぐに神奈川県道52号相模原町田線に抜け出る。道路の向こうへも「水道みち」が延び、その左手(西側)には公園が設けられている。相模原公園せせらぎの園地区である。

相模原公園せせらぎの園地区は「神奈川県フィッシングパーク」の跡地である。「神奈川県フィッシングパーク」は道保川の河川水を利用して、淡水魚の知識普及などを目的に1970年に設立されたもので、財団法人神奈川県フィッシングパークが運営する施設だった。以来30年近く、釣り堀としても親しまれていたのだが、水質低下などを理由に1998年に閉鎖されてしまった。その跡地を相模原公園の一部として再整備し、分園としたものが、現在の相模原公園せせらぎの園地区である。開園後しばらくは「フィッシングパーク跡地」の名で呼ばれていたが、さすがにその名では味気ないという判断があったのか、今は「せせらぎの園地区」という呼称に変更されている。

相模原公園せせらぎの園地区
相模原公園せせらぎの園地区は河岸段丘の崖下に木々に包まれて横たわり、ひっそりと落ち着いた佇まいだ。園内には道保川の水を引き入れて小川が流れ、その流れを集めて「上の池」、「中の池」、「下の池」と、三つの池が造られている。その池や小川の周囲を巡って散策路が辿り、ゆったりと散策を楽しむことができる。園内奧部に「魚霊供養塔」が建てられているのが印象的だ。「中の池」の一部は水遊びの可能な「ふれあい水辺 じゃぶじゃぶゾーン」として整備されており(他の水辺は水遊び禁止だ)、親水公園としての役割も担っている。

東側(道路側)には芝生広場も設けられており、のんびりとお弁当を広げるのも楽しい。県道52号を通る車の音がけっこう聞こえてくるのが難点だが、周囲を囲む木々が穏やかな空気感を保ってくれているのが嬉しい。春には桜や八重桜が美しい景観を見せてくれることでもよく知られている。お花見に訪れるのもお勧めである。
相模原公園
相模原公園はその広々とした開放感、緑に溢れた空気感と景観の美しさが魅力で、「子どもたちの遊び場」的な相模原麻溝公園と対照的に、のんびりとしたくつろいだひとときを過ごすための「大人のための公園」と言えるかもしれない。子どものいる家族連れなら、相模原麻溝公園で遊び、こちらでのんびりとお昼のお弁当を広げるという使い方もよいかもしれない。

いずれにしても相模原公園と隣接する相模原麻溝公園は両者を合わせてひとつの公園として機能しているような性格もあり、家族連れなどであれば手軽なピクニック感覚で訪れても一日充分に楽しく過ごすことができるだろう。初めて訪れた際には公園管理所に立ち寄り、双方の公園を一緒に描いたマップを貰っておくと便利だ。

JR横浜線やJR相模線、小田急線の駅からバス路線もあるが、駅から遠いこともあって車での来園が便利だ。駐車場は余裕があり、300台近くの駐車スペースがあるが、土曜・日曜・祝日には有料となる。隣接する相模原麻溝公園にも駐車場があり、そちらは無料なので空いていればそちらを利用するのがお勧めだ。
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