埼玉県鳩山町の中央部に「鳩山町農村公園」という公園がある。芝生の広場や池などから構成された公園で、自然に溢れ、長閑な空気感が魅力の公園だ。夏の盛りの七月末、鳩山町農村公園を訪ねた。
鳩山町農村公園
埼玉県鳩山町のほぼ中央部、「鳩山町農村公園」と名付けられた公園がある。2.8haほどの面積を有し、園内には芝生の広場や親水施設などが設けられ、町民の憩いの場として親しまれている。園内には研修室や調理室などを設けた「農村活性化施設」が建っており、それらの施設は有料で使用することができるとのことだ。

公園は鳩川に大橋川が合流する辺りから北東の方角に入り込む谷戸の奥に設けられており、従って南西方向以外は丘陵地が囲んでいる。そのため開放感には乏しいが、緑濃い風景に囲まれて落ち着いた空気感が魅力だ。谷戸の奥という立地だから、当然のことながら園内と園周辺には水田用の溜め池らしい池があり、水辺の風景も楽しむことができる。長閑な風景を楽しみながら、のんびりと時を過ごすのに好適な公園だ。
鳩山町農村公園
鳩山町農村公園のいちばんの魅力は、やはり「ふれあい交流広場」と名付けられた芝生の広場だろう。外縁部を木立が囲み、広場の中央にはシンボルツリーのようにケヤキの木が植えられている。木々に囲まれて落ち着いた空間を成している。公園自体が3haに満たないから、芝生の広場もそれほど広大というわけではないが、充分に魅力的な広場だと言っていい。
鳩山町農村公園
「ふれあい交流広場」の奥(北東側)には「親水体感広場」や「水辺の広場」などから成る親水施設が設けられている。“せせらぎ”や池、噴水などから構成された施設で、本来なら水遊びも可能なようだが、今回訪れたとき(2022年7月)には施設全体が稼働していなかった(コロナ禍の影響による措置かもしれない)。
鳩山町農村公園
公園の東側外縁部、丘陵地の裾に沿って小さな川が流れている。こちらは人工の親水施設ではなく、「石田川」という川である。もちろん公園内を流れる部分では河岸が整備されているが、山間を流れる渓流の趣を保っているのが嬉しい。
鳩山町農村公園
「ふれあい交流広場」の南側には「大沼」という池が横たわっている。谷戸の奥という立地から考えれば、おそらく水田用の溜め池として造られたものだろう。公園の修景池としてもなかなか魅力的で、周囲の緑を映す姿が美しい。のんびりと池の周囲を巡ってみるのもお勧めだ。
鳩山町農村公園
「大沼」の北側の岸辺にはパーゴラが設けられている。パーゴラの下にはベンチとテーブルが設置されているから、大沼を眺めながらお弁当を広げるのも楽しい。パーゴラは藤棚を兼ねている。日差しの強い季節には、葉の茂った藤が落とす日陰が嬉しい。それほど大きな藤棚ではないが、藤の花が盛りの頃の光景も見てみたいものだ。
鳩山町農村公園
「大沼」の南側、道路を挟んで「湿性植物園」が設けられている。その名から推測すれば湿地となったところにさまざまな湿地性の植物が植えられて、それらを観察できるのだろうと思うが、今回訪れたとき(2022年7月)にはあまり魅力的とは言えない様相だったのが残念だ。
鳩山町農村公園
公園の東側には樹林地が広がっている。樹林地は「鳩山町農村公園」の範囲外のようだが、「ふれあいの森」として解放されているようで、公園の一部のように一体化している。樹林地の中には池もある。これもおそらく農耕用の溜め池だろう。鬱蒼と木々が茂る中に沈む池の姿は少しばかり幽玄の気配を纏っている。
鳩山町農村公園
公園のある谷戸の西側斜面には古代の窯跡が残っている。鳩山町は東日本有数の古代窯業地なのだそうで、町域にはいくつもの窯跡が残されている。そのうち「石田国分寺瓦窯跡」と「赤沼古代瓦窯跡」がこの谷戸にある。両者とも県指定史跡である。現地には簡単な解説を記した案内板が設けられているから、興味のある人は見ておくといい。これらの窯跡も鳩山町農村公園の園内という位置付けのようだ。
鳩山町農村公園
公園のエントランス脇には「まつぼっくり」と名付けられた「農村活性化施設」が建っているが、その前庭的な場所に百日紅の木が植えられている。今回訪れた七月末、百日紅は花の盛りだ。緑濃い風景の中、夏の日差しを浴びた薄紅の百日紅がたいへんに美しい。百日紅観賞を目的に夏の鳩山町農村公園を訪れるのもお勧めだ。
鳩山町農村公園
百日紅が植えられた場所にはオニユリやコオニユリも花を咲かせていた。コオニユリやオニユリもまた百日紅と同様に夏を象徴する花だ。濃いオレンジ色の花が夏の日差しを弾いて輝いている。ほとんどがコオニユリのようだが、珠芽(むかご)を付けた茎もあったから混在して植えられているのだろう。
鳩山町農村公園
鳩山町農村公園を訪れたら、少し足を延ばして周辺の田園風景を散策するのもお勧めだ。公園から南西側の方角へ辿っていけば、鳩川河畔に広がる田園地帯だ。七月末、水田の稲は青々と育ち、青い夏空と美しいコントラストを見せる。のんびりと歩きながら田園風景の美しさを楽しみたい。
鳩山町農村公園
田園風景の中、ところどころの畑地の隅でヒマワリが咲いている。農家の方が植えたものだろう。夏の散策でヒマワリの咲く風景に出会うとなぜか嬉しくなってしまう。夏の日を浴びて咲くヒマワリと夏空との組み合わせは、まさに夏を象徴する景観だ。美しい花を見つけて、いろいろと構図を考えて写真を撮るのも楽しいひとときだ。
鳩山町農村公園
鳩山町農村公園は行楽地的性格をほとんど有していないが、近隣に暮らす人たちにとっては休日をのんびりと過ごすのに魅力的な公園だと思える。自然豊か環境の中に造られた公園は都市部に設けられた公園とは違った魅力を持っているのも確かで、長閑で穏やかな空気感は特に都市部に暮らす人たちにとって魅力的なものだろう。周辺の田園風景への散策の拠点として訪ねるのもいい。地味ながら素敵な公園である。
鳩山町農村公園
鳩山町農村公園
鳩山町農村公園
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参考情報
交通
鳩山町農村公園は鉄道の駅からは遠い。車での来園がお勧めだ。公園には来園者用無料駐車場が用意されており、30台分ほどの駐車スペースがある。通常なら駐車できるだろう。

県道171号ときがわ坂戸線と県道41号東松山越生線との「鳩山駐在所前」交差点から東へ、「農村公園通り」を1kmほど行ったところにある。遠方から訪れる場合は、関越自動車道坂戸西スマートICを利用するのが近い。坂戸西スマートICから6kmほどの距離だ。

飲食
公園内には飲食店も売店もない。公園入口から「農村公園通り」を300mほど西へ行ったところに蕎麦店が一軒建っているが、他には周辺に飲食店はない。「鳩山駐在所前」交差点の角にコニビエンスストアが建っているからお弁当やサンドイッチを購入してから公園を訪れるのもお勧めだ。

周辺
公園から東へ、鳩山ニュータウンを抜けて2kmほど行ったところに「石坂の森」があり、その北側には「東松山市民の森」が隣接、ほとんど一体化した樹林地を成している。石坂の森と東松山市民の森とを併せて樹林散歩を楽しむのもお勧めだ。

東松山市民の森の東側には物見山公園がある。これも距離は近く、散策の足を延ばしてみるのもいい。さらにその東側には埼玉県こども自然動物公園がある。動物園を主体にした規模の大きな公園だ。
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