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横浜市中区山手町
山手西洋館
世界のクリスマス2003
Visited in December 2003
山手西洋館世界のクリスマス
横浜山手の公園に附属する七つの西洋館で、今年も「世界のクリスマス」の展示が行われるというので、12月の初旬に早速出かけてみた。異国情緒溢れる佇まいの山手西洋館に世界各国のクリスマスの飾り付けがなされるという企画で、それぞれの西洋館がひとつの国をテーマにして行われる。昨年(2002年)にも行われていたのだがついに行きそびれてしまい、今年こそはぜひ訪ねてみたいと思っていたのだ。
根岸線石川町駅を元町側へと出て、大丸谷坂を上がると山手イタリア山庭園だ。ここに「外交官の家」と「ブラフ18番館」が建っている。坂の途中から「ブラフ18番館」の裏手へと上がり、まず「ブラフ18番館」から覗いてみることにする。
ブラフ18番館」のテーマは「氷と火の国のクリスマス」とのことで、アイスランドのクリスマスだ。アイスランド国旗に使用されている「赤」と「白」、「青」の三色をメインにした飾り付けであるという。特に「白」という色が印象深く、雪や氷を連想させてアイスランドという国の風土を感じさせてくれるようでもある。パンフレットの解説によれば、日本在住のアイスランド人は30人であるという。ほとんどの日本人にとっては馴染みの薄い国ではないかと思うが、それだけにさまざまな飾り付けが想像力をかきたててくれて楽しい。飾り付けにはアイスランド大使館の協力があり、テーブル・コーディネイトはアイスランド大使夫人と公使夫人によるものという。
ブラフ18番館−アイスランドのクリスマスブラフ18番館−アイスランドのクリスマス
ブラフ18番館−アイスランドのクリスマスブラフ18番館−アイスランドのクリスマスブラフ18番館−アイスランドのクリスマス
ブラフ18番館−アイスランドのクリスマスブラフ18番館−アイスランドのクリスマス
外交官の家」のテーマは「花の国のクリスマス」、フランスが選ばれている。ダイニング・ルームのテーブル上のオブジェのような飾り付けがひときわ目を引く。フランスのフラワー・デザイナーであるボーニッシュ・ローラン氏によるものという。ボーニッシュ・ローラン氏はパリ郊外のヌイイ市に百年続く花店の四代目であるそうで、パリ・フローリスト養成学校の派遣講師として来日、フラワー・デザイナーやフラワー・スクール講師として活躍中とのことだ。館内飾り付けはサントロペのクリスマスをイメージしたものといい、そのせいか、とても華やかな印象がある。
外交官の家−フランスのクリスマス外交官の家−フランスのクリスマス
外交官の家−フランスのクリスマス外交官の家−フランスのクリスマス
山手イタリア山庭園を後にして山手本通りを東へしばらく歩くと「ベーリックホール」だ。「ベーリック・ホール」はカナダのクリスマスとのことで、「森の国のクリスマス」というテーマが掲げられている。メイン・エントランス右手のホールの演出はカナダの森をイメージしたものらしく、その中でオーロラの写真展も同時開催されている。「ベーリック・ホール」は建物が大きく部屋数も多いが、そのそれぞれに小物が飾り付けられ、クリスマスの雰囲気をうまく演出している。エントランス横のダイニング・ルームのテーブルにはグラスリッツェンのコーディネートがなされており、窓から差し込む光に輝く様がとても美しい。「グラスリッツェン」というのはダイヤモンド粉末を先端に付けた「ペン」によってガラス表面に絵柄を彫り描いてゆく工芸のことで、もともとはヴェネチアン・ガラスの装飾として発展したものであるらしい。
ベーリック・ホール−カナダのクリスマスベーリック・ホール−カナダのクリスマス
ベーリック・ホール−カナダのクリスマスベーリック・ホール−カナダのクリスマス
「ベーリック・ホール」から東へ路地を渡ると「エリスマン邸」だ。「エリスマン邸」のテーマは「音楽の都のクリスマス」、オーストリアだ。「音楽の国のクリスマス」というだけあって、サンルームのテーブルは楽器をあしらった飾り付けがなされている。ダイニング・テーブルのコーディネートはシンプルだが美しく上品な印象だ。窓辺に提げられた小物も可愛らしい。サンルーム横の一室にはパイプ椅子が並べられ、小さなコンサートホールが設けられていた。訪れた時には残念ながら演奏は行われていなかった。
エリスマン邸−オーストリアのクリスマスエリスマン邸−オーストリアのクリスマス
エリスマン邸−オーストリアのクリスマスエリスマン邸−オーストリアのクリスマスエリスマン邸−オーストリアのクリスマス
エリスマン邸−オーストリアのクリスマスエリスマン邸−オーストリアのクリスマス
「エリスマン邸」の斜向かいには「山手234番館」がある。「山手234番館」は「南半球、夏のクリスマス」として、アルゼンチンが選ばれ、ブエノスアイレスのクリスマスがイメージされている。館内の飾り付けは必要最小限という印象だが、日本ではなかなか実感できない「夏のクリスマス」に思いを馳せるのも楽しい。館内には写真とパネルによるアルゼンチン紹介の展示もなされている。玄関横の部屋では「クリスマスオーナメントをつくろう」というコーナーがあり、教わりながらオーナメントを制作する人の姿があった。
山手234番館−アルゼンチンのクリスマス山手234番館−アルゼンチンのクリスマス
元町公園前の一角から外国人墓地の横を抜け、港の見える丘公園へと辿れば、「イギリス館」が迎えてくれる。「イギリス館」は言うまでもなくイギリスのクリスマスだ。「伝統的なクリスマス」というのがテーマであるらしく、単にイギリスのクリスマスというのではなく、一時代前のイギリスをイメージしたクラシカルな演出がなされているとのことだ。館内の随所に飾り付けがなされており、そのそれそれがとても美しい。バラを多用した飾り付けはさすがに豪華で高貴な印象があり、英国の伝統を感じさせるものだ。「英国貴族の館」という写真展も同時開催され、見所は多い。
イギリス館−イギリスのクリスマスイギリス館−イギリスのクリスマス
イギリス館−イギリスのクリスマスイギリス館−イギリスのクリスマスイギリス館−イギリスのクリスマス
イギリス館−イギリスのクリスマスイギリス館−イギリスのクリスマス
「イギリス館」からローズガーデンを抜けて南へと辿れば「山手111番館」がある。「山手111番館」はギリシャのクリスマスだ。海運国ギリシャらしく「海のクリスマス」がテーマだ。窓辺には船の模型も飾られている。テーブルにはギリシャのお菓子も並べられている。吹き抜けのホール中央にはシャンデリアの真下にクリスマス・ツリーが置かれ、シャンデリアの輝きを受けて美しい。
山手111番館−ギリシャのクリスマス山手111番館−ギリシャのクリスマス
山手111番館−ギリシャのクリスマス
それぞれの洋館がそれぞれに趣向を凝らした飾り付けを行っていて楽しいが、個人的には「ブラフ18番館」のアイスランドのクリスマスや「イギリス館」のイギリスのクリスマスなどが特に見応えがあったような気がする。見てゆくと各館に飾られた可愛らしい民族人形に気が付くが、これは「世界のクリスマス」の企画に併せて「横浜人形の家」から持ち込まれて展示されているものという。また各館にイルミネーションが施されており、日没から午後10時まで点灯されるらしい。日が落ちてから訪ねてみるのもよいかもしれない。
山手西洋館世界のクリスマス山手西洋館世界のクリスマス山手西洋館世界のクリスマス山手西洋館世界のクリスマス
「山手西洋館世界のクリスマス」は12月1日から25日までの期間で開催される。訪れた12月初旬、山手イタリア山庭園元町公園などで美しく黄葉したイチョウが散策の目を楽しませてくれた。「世界のクリスマス」に併せて山手の洋館群を初めて訪ねる人も少なくないのではないかと思うが、洋館そのものとクリスマスの飾り付けと、見るものが多くて時間が足りなくなってしまうかもしれない。すでに何度か山手西洋館を訪ねたことのある人なら、クリスマスの飾り付けに目的を絞って訪れるとよいだろう。クリスマスコンサートなどのイベントも各館それぞれに開催されるようだから、それらの予定を調べておくとより楽しめるに違いない。
山手西洋館世界のクリスマス