佳景探訪
桜咲く飛鳥山公園
東京都北区の飛鳥山公園は八代将軍徳川吉宗の頃に始まる桜の名所だ。現在でも都内屈指の花見の名所として知られ、桜の花期には大勢の花見客を迎えて賑わう。桜が満開の四月上旬、飛鳥山公園を訪ねた。



桜咲く飛鳥山公園

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桜咲く飛鳥山公園

桜咲く飛鳥山公園
飛鳥山公園は、そもそも江戸時代中期、八代将軍徳川吉宗が“飛鳥山”と呼ばれた丘陵地に桜や楓を植栽し、行楽地として整備、庶民に開放したことに始まる。飛鳥山は桜の名所として広く知られるようになり、近辺には茶屋なども建ち並んで大勢の人出を集めるようになった。当初から“桜の名所”であったわけだ。当時は花見の酒宴は禁じられていたようだが、飛鳥山では許されており、たいそうな賑わいだったらしい。明治の初期には太政官布達によって“公園”に指定され、日本で最初の“公園”のひとつとしても知られる。また明治期の実業家である渋沢栄一が居宅を設けたところでもあり、当時の建物二棟が現在も残っている。

現在の飛鳥山公園はJR王子駅から至近の立地でありながら緑濃く、普段は付近に暮らす人たちの憩いの場として親しまれている。紫陽花の名所としても名を連ねる公園だが、やはり桜の名所としての知名度は高く、桜の花期には大勢の花見客を集める。公園内にはソメイヨシノを中心に650本ほどの桜があるという。

今回訪れたのは桜が満開の四月上旬の土曜日、週末とあって公園内は大勢の花見客で賑わっていた。公園中央部の「児童エリア」南側の広場ではシートを広げて花見を楽しむ家族連れやグループで隙間もないほどだ。北側半分を占める樹林部もたいへんな賑わいで、散策路は行き交う人で溢れ、散策路脇にはシートを広げて宴を楽しむ人たちの姿が並ぶ。公園中央部西側の「多目的広場」ももちろん花見の人たちで埋め尽くされている。公園を訪れたのが午後になってからだったせいか、公園内はたいへんな人出でまっすぐに歩くこともままならないほどだった。シートを広げて花見を楽しもうという人はかなり早い時刻に来なければ場所を確保することが難しいに違いない。

公園南側を占める「旧渋沢庭園」は、明治期の実業家である渋沢栄一が居宅を構えていた区域で、当時の建物が二棟残されている。庭園内での飲食が禁止されているため、シートを広げる人の姿はなく、散策を楽しむ人たちがあるだけだ。「旧渋沢庭園」内には桜は多くないのだが、初めて訪れる人はぜひ立ち寄ってみたいところだ。

飛鳥山公園の桜は、もちろん見事なものだ。都内の桜の名所として名を連ねる知名度に恥じない美しさだ。歴史の古い公園だけあって桜の木も大きなものばかりで、頭上を覆うように枝を張った満開の桜が公園を桜色に染め上げている。桜の咲き誇る園内を歩けば春爛漫の景観を楽しめる。ただ、その知名度の高さ故に何しろ人出が多い。人混みが苦手な人や、のんびりと静かな花見を楽しみたい人にはお勧めできない。また園内の桜は基本的に頭上を覆うように咲いており、“桜の咲く風景”を楽しむには不向きだ。それでも桜の好きな人なら一度は来てみるべき“名所”であることは間違いない。繁華な賑わいの中に身を置くことを楽しめる人なら、花見客で賑わう飛鳥山公園は楽しいひとときを提供してくれることだろう。飛鳥山公園に初めて訪れる人なら、公園内に建つ三つの博物館にも立ち寄ってみるといい。
参考情報
本欄の内容は飛鳥山公園関連ページ共通です
「渋沢史料館」と「北区飛鳥山博物館」、「紙の博物館」はそれぞれに入館料が必要だが、三館共通券も販売されており、共通券を購入すれば別々に購入するより割安になる。詳細は「飛鳥山3つの博物館」サイト(「関連する関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

「旧渋沢庭園」は入場料は必要ないが、開園時間が決まっており、夜間は閉鎖される。また庭園内に建つ「晩香廬」と「青淵文庫」は、普段は外観を見学できるだけだが、毎週土曜日の午後には一般公開されるようだ。詳細は「財団法人渋沢栄一記念財団」サイト(「関連する関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)内の「渋沢資料館」を参照されたい。

交通

飛鳥山公園はJR京浜東北線王子駅から至近だ。JR王子駅の西に隣接していると言っていい。JR王子駅のすぐ北側には東京メトロ南北線の王子駅があり、もちろんこちらからも近い。また都電荒川線が飛鳥山公園の北側を回り込むように走っており、JR王子駅横の王子駅前停留場や飛鳥山公園西側の飛鳥山停留場などが近い。

公園の西側を通る本郷通り沿いに有料の公園駐車場が設けられているが、大型車両用スペースが4台分、普通車用スペースが20台分ほどであまり余裕がない。王子駅周辺や明治通り沿い、本郷通り沿いに民間駐車場が点在しているが、こちらもそれほど多いわけではない。桜のシーズンなどには車での来訪は敬遠した方が賢明だろう。

飲食

公園中央部の「児童エリア」の線路側に「さくら亭」という名の軽食と甘味の店がある。北区飛鳥山博物館内にも軽食喫茶の店がある。あくまで“軽食も可能”という程度だ。

シートを持参していれば公園内に場所を見つけてアウトドアランチを楽しむことは可能だが、飛鳥山公園には芝生広場のようなスペースは無く、ピクニック気分でお弁当を広げるには少しばかり不向きかもしれない。なお「旧渋沢庭園」エリア内は飲食禁止となっている。

王子駅周辺へ行けば飲食店は多く、食事の場所には困らない。ただし桜の季節の休日には公園と周辺はたいへんな人出で賑わい、食事の場所にも困ってしまいかねない。余裕を持って出かけた方がいい。

周辺

飛鳥山公園のすぐ北側には明治通りを挟んで音無親水公園がある。春は桜、夏は水遊びで賑わう公園だ。その北に隣接する王子神社へも足を延ばしておきたい。さらにそこから北へ数百メートル進むと名主の滝公園という公園がある。かつて王子村の名主だった畑野家の屋敷があったところという。

飛鳥山公園の西側、滝野川二丁目には「赤レンガ酒造工場」がある。建築に興味のある人は訪ねてみるといい。

本郷通りを南へ下ると数百メートルほどで滝野川公園、さらに進めば旧古河庭園だ。少し距離があるが、併せて訪ねてみるのもいい。町歩きの好きな人なら旧古河庭園南側の霜降銀座商店街もお勧めだ。

桜の季節であれば石神井川を上流側へと辿ってみるのもお勧めだ。石神井川河畔に桜が植栽され、美しい景観を見せてくれる。特に板橋区に入ると見事な桜並木が続く。少し距離があるが、花見散歩のコースとしてお勧めだ。
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