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社務所の傍らに「玉の井」という井戸がある。傍らの解説によれば、「玉の井」とは古事記に於いて海神の宮で豊玉姫の侍女が彦火火出見命と出会う場面に描かれる泉のことであるという。
塩椎神の助言に従って海神の宮へ着いた彦火火出見命は、これも助言の通りに宮の門の傍らにある泉のほとりの桂の木の樹上で待っている。やがて豊玉姫の侍女が泉へ水を汲みにやってきて、樹上の彦火火出見命に気付く。彦火火出見命が水を求め、侍女は器を差し出すが、命は水を飲まず、器の中に自らの勾玉を入れる。勾玉は器から離れず、侍女はそれを携えて豊玉姫のもとへと戻ってゆき、勾玉に気付いた豊玉姫が侍女に「外に誰かいるのか」と問う。彦火火出見命と豊玉姫の出会いのきっかけとなる場面である。「玉の井」の「玉」は勾玉のことだろう。
「玉の井」の水は浄めの水として使われ、この水を汲みに来社する人が絶えないと解説には記されている。四方を海に囲まれた標高もほとんど無い島の直中の井戸であるのに、水には全く塩分が含まれていないのだという。解説板に依れば、対岸の山頂に海水の湧く場所があり、水源が入れ替わっているのだという伝説があるという。
参道入口の横には「日向神話館」がある。天孫降臨から神武東征までの神話の世界を十二の場面で構成し、蝋人形で再現している。宮崎には日本神話に縁の地が多いことからの観光客向けの施設だが、神話に興味のある人は見学してゆくとよいかもしれない。
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