東京都調布市の野川公園は緑に溢れた広大な公園だ。晩秋には園内のイチョウやモミジなどの落葉樹が秋の色に染まり、美しい景観を見せる。イチョウが黄金色に染まった十一月の末、野川公園を訪ねた。
紅葉の野川公園
11月も終わりに近くなり、多摩地域の街路樹も秋の色に染まる頃、野川公園もまた園内のイチョウが黄葉を迎える。野川公園は「紅葉の名所」と呼ぶには相応しくないが、園内随所に植えられたイチョウがなかなか美しい秋の景観を見せてくれる。
紅葉の野川公園
紅葉の野川公園
管理所前からバーベキュー場の横を抜けて北へと進むと、ヒマラヤスギやカツラ、イチョウなどから成る林がある。このイチョウの林が、野川公園の中で最も美しい黄葉を楽しめるところだろう。散策路を歩けば黄金色の木漏れ日が降り注ぎ、穏やかな秋のひとときを楽しむことができる。

そのまま北へ辿れば「少年デイキャンプ場」の設置された「いこいの広場」だが、ここにも大きなイチョウの木がある。残念ながら訪れた時にはまだ黄葉に染まりきっていないようだったが、それでも秋の日差しを浴びて輝く様子は美しい。
紅葉の野川公園
そのまま東八道路を越えて野川の河畔に進むと、「武蔵野の森」の一角にもイチョウの木がある。散策途中の一休みなのか、イチョウの木の下にシートを広げてくつろぐ年配の人たちのグループの姿があった。その近くではイイギリが実をつけている。真っ赤なイイギリの実が真っ青な秋空に映えてとても美しい。
紅葉の野川公園
野川公園にはモミジの木は少なく、「武蔵野の森」や「大芝生」の一角で少しばかり見ることができるだけだが、サービスセンター南側の一角には少しまとまっており、モミジの紅葉はこちらで楽しめる。
紅葉の野川公園
野川公園のイチョウはなかなか大きな木が多いが、黄葉の時期には個体差があるようで、落葉しつつある木がある一方でこれから黄葉の時期を迎えるものもある。考え方を変えればその分だけ長い期間、黄葉を楽しむことができるということだろう。イチョウやモミジなどの他にもサクラやプラタナスなど、さまざまな樹木が秋の色に染まる。秋の野川公園は「紅葉を楽しむ」というより、園内の木々が秋の色彩に染まる中、静かで穏やかな散策を楽しむのがいい。
参考情報
本欄の内容は野川公園関連ページ共通です
交通
電車でのアクセスであれば、西武多摩川線の新小金井駅や多磨駅が最寄りということになるが、どちらも公園までは徒歩で十五分ほどはかかるだろう。バスであればJR中央線の武蔵小金井駅や三鷹駅、あるいは京王線の調布駅からのバス路線を利用するといい。

駐車場は有料で200台分を越えるスペースで用意されているが、公園の規模から考えれば行楽シーズンの休日にはとても足りないだろう。駐車場は人見街道側にあるが、東八道路の交差点にも案内標識があり、比較的分かり易い。

飲食
管理所横に売店があり、カレーや焼きそば、うどん、たこやきなどの軽食とドリンク類を販売しているが、他に本格的なレストランは無い。公園の性格から言ってもお弁当を持参して、木陰にシートを広げてのランチタイムがお勧めだ。

公園南側を通る人見街道の公園入口近くに蕎麦屋とコンビニエンスストアがあるが、他には公園周辺にお店は無い。公園に向かう途中でおにぎりなどを調達しようという場合は公園に近づく前に立ち寄っておいた方がいい。

バーベキュー場の利用は無料だが予約が必要とのことだ。利用時間や問合先などについては西武・武蔵野パートナーズによる公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

周辺
野川の上流部、西側には都立武蔵野公園が隣接しており、野川河岸の遊歩道を辿って行けば道路を一本横切るだけで武蔵野公園へと入って行ける。武蔵野公園も緑に溢れた公園で、特に野川河岸の散策が楽しい。また春の桜の時期秋の紅葉の時期の武蔵野公園はたいへんに美しい。ぜひ散策の足を延ばしたい。

野川を下流側へ辿れば「大沢の里」と呼ばれる一角があり、昔ながらの水田の広がる風景や古民家などが残されている。時間が許せば野川の河岸を辿って散策を楽しみたいところだ。

野川公園から南へ、人見街道を越えて少し辿れば都立武蔵野の森公園だ。調布飛行場に隣接した、開放感溢れる公園だ。ここもぜひ訪ねておきたい。
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