日南海岸散歩
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日南線の旅駅の横顔

油津駅
油津駅
伊比井で海岸を離れて内陸部へ回り込んだ日南線は、飫肥を過ぎた後、ほぼ真っ直ぐに油津を目指す。油津駅は油津の町の鉄路の玄関口だ。油津は宮崎県南の商業の中心と言っていい。世相の変化と共に現在では少々寂れてしまった観もあるが、油津港を中心に古くから栄え、特に1963年(昭和38年)に日南線が全線開通した後の昭和40年代、近隣から多くの買い物客が訪れて賑わった。日曜、祝日ともなれば油津の町へと行き交う人々で油津の駅はごった返したものだ。あの当時の賑わいは今はないが、日南線の中でも要衝の駅であることは今も変わらない。
油津駅
油津駅の駅舎は、元来は白色を基調にした外観だったのだが、2018年(平成30年)2月、真っ赤に模様替えした。日南市が長くプロ野球球団の広島東洋カープのキャンプ地であることから、地元のファン有志の提案によって駅舎を広島東洋カープのチームカラーである赤に塗り替え、「カープ油津駅」の愛称も与えられた。乗降客が減少している日南線を盛り上げるきっかけにしたいとの思いもあったようだ。赤く塗られた駅舎の壁には“カープ坊や”が大きく描かれ、入口上の壁面の駅名には「Carp」のロゴがあしらわれている。入口脇、表札横のパネルで保護されている部分は、緒方孝市監督が塗り治めをしたところだそうだ。

この赤く塗られた「カープ油津駅」、特に広島東洋カープのファンや鉄道ファンなどの間で話題になり、宮崎旅行の際に時間を設けて“油津駅の駅舎を見に来る”という人もあるようだ。油津の新しい“名所”であるかもしれない。
油津駅

油津駅
油津駅の構内は広く、日南線の駅の中でも屈指の規模を誇る。その広い敷地の中で島式ホームが上り下りの列車を迎えている。ホームと駅舎とは少々離れているが、かつてはそこに側線があったらしい。改札口からホームへと向かう通路脇には花壇があり、その隅に大きなウチワサボテンがある。もうずいぶん長い間、その光景は変わっていない。構内には蘇鉄なども植えられ、南国の駅らしい佇まいを見せている。

ホームには「名所案内」の案内板が置かれている。そこには「鵜戸神宮」、「堀川運河」、「猪崎鼻公園」の名が記されている。「堀川運河」へは歩いても行ける距離だが、鵜戸神宮へはバスを利用し、30分ほどが必要だ。「猪崎鼻公園」へは油津駅ではなく、実際は大堂津駅で降りるのが便利だろう。
油津駅油津駅

油津駅油津駅

油津駅
駅前は変則的なロータリーになっており、中央に客待ちのタクシーの待機スペースと一般用の駐車スペースがある。一般用駐車スペースは数台分だが、平日には空きスペースを見つけることも難しいことではない。駅前にこうした無料駐車スペースがあることもローカル線の駅らしいところだろうか。ロータリーの周辺にはワシントン椰子が葉を揺らし、南国の駅らしい風情を漂わせている。ロータリーの中央に置かれたモニュメントは、マグロと波を象ったものだろうか。駅前から北へまっすぐに道路が延びて国道222号へと繋いでいる。その道を少し歩き、向かって右手、東側へと入り込んだ辺りが商店などの並ぶところだ。堀川運河油津港へは駅前から東へ、町中を抜けてゆくといい。駅前から線路に沿って東へ辿り、天福踏切を渡れば、広島東洋カープのキャンプ中の練習場として使われる天福球場である。カープファンなら訪ねておきたいところだろう。
油津駅前油津駅前

油津駅前
駅前の東側には宮崎交通の日南営業所があり、日南市内各方面へのバスが発着する。市内の路線だけでなく、北へは宮崎市内、宮崎空港、南は串間市の市木方面へと繋ぐバス路線も通っている。自家用車の利用が一般的なことになってしまった現在、昔に比べれば日南線もバスも利用者は減ってしまったが、日南線から降り立ち、バスへと乗り換える人の姿が無くなったわけではない。油津駅は現在も交通の要衝としての役割をしっかりと担っている。バス路線を利用して鵜戸神宮へ行く際も、この営業所からバスに乗るとよい。
宮崎交通日南営業所宮崎交通日南営業所
無人駅が多くなった日南線の中で、油津駅は駅員の常駐する数少ない駅のひとつだったのだが、JR九州は経費削減のためについに油津駅の無人化を決定した。この駅舎に2004年(平成16年)4月1日、市役所庁舎内にあった日南市観光協会が移転、かつての駅の事務室は日南市観光協会の事務局に模様替えし、油津駅は日南市の観光案内所を兼ねて再出発することになった。事務局には観光協会の職員が常駐し、乗車券や定期券の販売の他、日南市の観光案内も行っている。観光用の各種パンフレットや地図なども多種が常備されており、観光に訪れた人なら一度は立ち寄っておいても損はない。
油津駅前
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INFOMATION
油津駅
【所】日南市岩崎二丁目
【開】1937年(昭和12年)4月19日
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この近辺
油津堀川運河杉村金物本店油津港梅ヶ浜
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▲(上り:南宮崎方面)−日南飫肥内之田 and more.
▽ 隈谷川橋梁山王踏切
▼(下り:志布志方面)−大堂津南郷谷之口 and more.
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ページ内の写真は2004年夏、2018年夏に撮影したものです。本文は2018年12月に改稿しました。
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