幻想音楽夜話
Picks Log
ちょっと気になっている音楽やアーティストについて、あるいは気になった音楽シーンの話題について、「幻想音楽夜話」のトップページの「Picks」欄に短いコメントで気ままに記しています。このページはその「Picks」欄の過去ログです。「Picks」欄の過去ログは年毎にまとめてあります。メニューから表示ページを選択して下さい。最新のものは「幻想音楽夜話」トップページでどうぞ。
2010年個人的年間アルバムベスト3
昨年初めてやってみた「個人的年間アルバムベスト3」、今年もやってみよう。購入したCDの中から、2010年に発売された「新作アルバム」と「復刻アルバム」、それぞれ3枚、選んでみた。順番は発売日順、上のものから1位、2位、3位ではない。

【新作】
「Slash / Slash」
「Forever / Chick Corea, Stanley Clarke & Lenny White」
「World Gone Crazy / Doobie Brothers」
Corinne Bailey Raeの「The Sea」も良かった。Jeff Beckの新作ももちろん良かった。相対性理論の「シンクロニシティーン」も悪くなかったぞ。でも、“よく聴いた”という点で選ぶと上記3作品か。アルバムじゃないけど、Superflyの「Wildflower & Cover Songs : Complete Best 'TRACK 3'」でカヴァー曲を一枚にまとめてくれたのは嬉しかったな。これもよく聴いた。あ、BONNIE PINKは買いそびれたな。

【復刻】
「Appetizers / Alan O'day」(紙ジャケット仕様SHM-CD)
「Cheryl Lynn / Cheryl Lynn」(紙ジャケット仕様CD)
「An Introduction To Syd Barrett / Syd Barrett」
Alan O'dayの「Appetizers」は“奇跡の復刻”と言っていいだろか。購入して聴いたときは嬉しかった。Cheryl Lynnのデビュー・アルバムは買うタイミングを見計らっていたというところで、紙ジャケット仕様での復刻がいい機会だった。このバックの演奏が好き(邪道な聴き方かもしれないけど)。Syd Barrettは同時復刻のオリジナル・アルバム3枚も同時購入。昔のCDを持っているけれども、誘惑に負けて買っちまった。Paul McCartney & Wingsの「Band On The Run」ですか? 欲しくないわけじゃないけど、何となく見送り。
December 24, 2010
Love Letter / R Kelly
R Kellyの通算15作目だそうだ。新作は1960年代ソウルの味わいになっているそうだが、「When a Woman Loves」をFMで聴いて、これがちょっと耳に残っている。R Kellyの新作について詳しくは知らないが、この曲はPercy Sledgeの名曲「When A Man Loves A Woman(男が女を愛する時)」にインスパイアされた楽曲なんだろうなぁ。ソウルとかR&B系の音楽は昔からそれほど聴かない(もちろん例外はある)のだけれども、これはちょっといいかも。
December 15, 2010
World Gone Crazy / Doobie Brothers
ドゥービー・ブラザース結成40周年だそうで、40周年記念ということでリリースされた新作が「World Gone Crazy」(10月27日発売、輸入盤は10月8日発売)。ドゥービーズはずっとライヴ活動は継続していたようなので、いわゆる“再結成”ではない。メンバーはトム・ジョンストン、パット・シモンズ、マイケル・ホサック、ジョン・マクフィーの4人、プロデューサーはテッド・テンプルマンとなれば「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」やら「ロング・トレイン・ランニン」やら「ブラック・ウォーター」やらが好きだったファンとしては買わずにはいられない(個人的にはトム・ジョンストンとパット・シモンズのふたりがいて、テンプルマンがプロデュースすれば「Doobie Brothers」だ)。天辰保文氏の解説によれば、ドゥービーズがリハーサルをやっているところにテンプルマンが訪ねたのが新作制作のきっかけだったそうだ。どちらが言い出したのか知らないが、“また久しぶりに一緒にアルバムを作ってみようか”と話が進んだんだろう。演奏は想像通り、トム・ジョンストン節の歯切れのいいロック・サウンドだ。円熟味の中に溌剌さがあって、40周年記念に相応しい内容だ。マイケル・マクドナルドがゲスト参加した楽曲も違和感なく溶け込んでいる。なかなかの快作。しばらく愛聴することになりそうだ。
October 28, 2010
FOREVER / Corea, Clarke & White
リターン・トゥ・フォーエヴァー全盛期を担った三人、チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイトによるピアノ・トリオの新作(8月25日発売)。CD2枚組で、一枚には2009年に世界各地で行ったライヴのベスト・テイクを収録、もう一枚にはスタジオ録音音源を収録。ジャズ・スタンダード曲からRTF時代の名曲まで演奏しているのだけれども、実に素晴らしい演奏だ。“ピアノ・トリオ”の構成で、チック・コリアはアコースティック・ピアノを主体に演奏している(Fender Rhodesも使っている)と聞くと、ストレート・アヘッドなジャズを、“枯れた”味わいで聴かせてくれるのかと思ってしまうが、ぜんぜんそんなことはない。パワフル、スリリング、エキサイティング。これはもう、“もうひとつの”RTFと言っても過言ではない。スタジオ録音の方はチャカ・カーンやビル・コナーズ、ジャン・リュック・ポンティらが曲によって参加、バラエティに富んでいて飽きさせない。これほどの演奏を聴かされるとアル・ディ・メオラのギターが欲しくなるところだが、それではただのRTFだな。
September 22, 2010
ケニー・エドワーズを悼む
ケニー・エドワーズが18日、カリフォルニアの自宅で亡くなった。享年64歳。一般的な知名度は低いが、ウェスト・コースト・ミュージックのファンにはよく知られたミュージシャンだ。ケニー・エドワーズを偲んでブリンドルを聴こう。ご冥福をお祈りします。
August 20, 2010
Animentine - Bossa du Anime / Clementine
フレンチ・ポップ・シンガーのクレモンティーヌが日本のアニメ・ソングをカヴァーしたアルバム(7月21日発売)。「バカボン・メドレー」や「サザエさん・メドレー」といったところから、「風の谷のナウシカ」、「崖の上のポニョ」、「タッチ」、「CAT'S EYE」などなど、日本では“国民的”と言っていいほど知名度の高いアニメ・ソングをおしゃれなフレッチ・ボッサ・アレンジでカヴァーしている。これが実に見事。「ラムのラブソング」などは出色の出来栄えだ。果たしてクレモンティーヌのファンやフレンチ・ポップのファンに勧めるべきか、アニソン・ファンに勧めるべきか迷うところだが、スタンスとしては日本のアニソンに題材を求めたフレンチ・ボッサのアルバムと見るべきだろうか。騙されたと思って聴いてみなさい。
August 10, 2010
Open The Door / Sim Redmond Band
キャリア10年を超えたSim Redmond Band、日本ではあんまり知名度が高くない。アーシーでフォーキーだけど、どこか現代的。穏やかで漂うようなグルーヴ感がとても心地よい。「Open The Door」は7月7日に発売された(輸入盤は6月8日発売)彼らの新作アルバム。冒頭に収録された「Breakdown」がInterFMでパワープレイ中。果たしてブレイクなるか。
July 14, 2010
Superfly
FIFAのNHKテーマソングになった「タマシイレボリューション」が話題のSuperfly、新曲の「Free Planet」がソニー・エリクソンのTVCM曲になってるし、さらにシングル「Dancing On The Fire」に収録されていたキャロル・キングの名曲のカヴァー「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」が映画「東京島」の主題歌に決定するし、7月スタートのフジテレビ系ドラマ「GOLD(野島伸司脚本、天海祐希主演)」の主題歌もSuperflyが担当(「Wildflower」)、この頃またSuperfly周辺が賑やかだ。やっぱり新曲が聴けるのは嬉しいね。
June 30, 2010
「The Stanley Clarke Band / Stanley Clarke」
スタンリー・クラークはよほど上原ひろみのことを気に入ったんだろうな。「Jazz in the Garden」に続いて再び上原ひろみを迎えてアルバムを作ってしまった(国内盤は6月2日発売)。今回はエレクトリック・バンド編成で、スタンリー・クラークもエレクトリック・ベースを弾いているけれども、上原ひろみはアコースティック・ピアノしか演奏していない。上原ひろみはあくまで“客演”の形だけれども、上原ひろみの書いた曲も収録されているし、なかなか存在感はある。それにしても、年齢を重ねてもスタンリー・クラークのエレクトリック・ベースは素晴らしい。若い頃ほどアグレッシヴではなくて、ちょっと落ち着いた感じはあるけれども。
June 25, 2010
「EARTH / 世界の終わり」
4月7日に発売された「世界の終わり」のデビュー・アルバム。「幻の命」を聴いて衝動買いした。「幻の命」については、その歌詞の意味がいろいろと取り沙汰されているが、まぁ、それはそれ。歌詞に歌われた内容の現実的背景はともかく、楽曲作品としてはたいへんに優れている。特にメロディが素晴らしい。「EARTH」は7曲収録の”ミニ・アルバム”だが、どの楽曲もなかなかいいぞ。サウンド・メイキングも良し。
May 21, 2010
ロニー・ジェイムス・ディオを悼む
ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを代表するシンガーのひとり、ロニー・ジェイムス・ディオが5月16日、胃癌のために亡くなった。レインボー来日コンサートでのロニーの姿は今でも目に焼き付いている。ご冥福をお祈りします。
May 18, 2010
「シンクロニシティーン / 相対性理論」
いよいよ一般への認知度も高まって、満を持して発売された観のある相対性理論のサード・アルバム(4月7日発売)。独特の相対性理論ワールドは健在、やくしまるえつこのフワフワしたヴォーカルも健在、と言いたいところだが、やくしまるえつこの歌唱はこれまでと微妙に違う。前2作での彼女の歌声は奇妙な浮遊感と現実感の無さ、無表情にも思えるような、突き放すような表情が特徴だったのだが、今回、そうした特徴の中に妙な生々しさが加わった。ヘンな言い方だが、”ああ、やくしまるえつこも生きている女性なのだな”と、そんなことを感じてしまう。作品を発表するごとに変化していって当然、というより変化してゆかなくてはいけないわけだけれども、この微妙な変化がこれまでのファンにどんなふうに受け入れられるのか、ちょっと興味がある。ん? はい、個人的には気に入ってます。
April 19, 2010
マルコム・マクラーレンを悼む
セックス・ピストルズを世に送り出したマルコム・マクラーレンが、4月8日、亡くなった。癌だったそうだ。ご冥福をお祈りします。
April 16, 2010
「Slash」
ついに発売されたスラッシュのソロ・アルバム(3月31日発売)。「ヴェルヴェット・リヴォルヴァーのギタリスト」などと形容されているのを見て、ちょっと複雑。もう「ガンズの」というイメージでとらえてはいけないんだろうな。今や世界最高のロック・ギタリストだろう。それにしても今回のアルバム、圧倒的なクオリティの高さだ。各楽曲にゲスト・ミュージシャンを迎えてのアルバムだけれども、どの楽曲もそれぞれに素晴らしい。個人的にはファーギーが参加した「Beautiful Dangerous」なんかは特にお気に入り。
April 9, 2010
「Emotion & Commotion / Jeff Beck」
ワーナー移籍後のジェフ・ベックの新作(3月24日発売)。スタジオ録音作としては2003年の「Jeff」以来の7年ぶり。ベースはTal Wilkenfeld、キーボードにJason Rebello、ドラムはVinnie Colaiuta 、プロデュースはTrevor HornとSteve Lipsonという布陣に、女性ヴォーカルなどのゲストミュージシャンを加え、さらにオーケストラの演奏も加わっている。収録曲もオリジナルに加え、Jeff Buckleyの楽曲やジェイ・ホーキンスの「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」、そしてプッチーニの歌劇「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」、すでにスタンダード化した名曲「虹の彼方に」など、さまざまなジャンルから選ばれている。今のジェフ・ベックが”やりたいことを全部やってみた”的な内容なのではないだろうか。アイデアがたくさんあったんだろう。でもジェフ・ベックのギターが聞こえてくると、すべてが”ジェフ・ベック色”になってしまうところは相変わらず凄い。ロック色は薄く、”尖った”ところはあまり感じられないけれども、ジェフのギターはよく歌う。販売サイドでは”Jeff Beckの新たなる次元”などと謳っているけれども、そうなのか?
March 26, 2010
「Already Free / The Derek Trucks Band」
円熟味を増したデレク・トラックスの新作(2月18日発売)。”世界最高のスライド・ギター”の評価も定着したデレク・トラックスもそろそろ三十歳近く、ずいぶんと落ち着いた感じで、音楽の深みが増した。アメリカン・ミュージックの王道。
March 12, 2010
「ポっぷ / 阿部真央」
「伝えたいこと」や「貴方の恋人になりたいのです」を収録した阿部真央のセカンド・アルバム(1月27日発売)。ハードなロックン・ロールと甘美なバラードとの対比がよいね。「伝えたいこと」がいいぞ、ってのは以前に書いたけれども、バラード曲も決して悪くない。ギター一本で歌う「サラリーマンの唄 」も秀逸。上司に不満のあるサラリーマン諸氏は絶対に聴いてみるべし。
February 26, 2010
デイル・ホーキンスを悼む
1968年にCCRがカヴァーしてヒットした「Suzie Q」の、オリジナルを歌ったシンガー、デイル・ホーキンスが2月13日に亡くなった。癌だったそうだ。享年73歳。ご冥福をお祈りします。
February 19, 2010
The Sea / Corinne Bailey Rae
話題になったデビューから約2年ぶりの、コリーヌ・ベイリー・レイのセカンド・アルバム(1月20日発売)。「アコースティック・ソウル」などといった形容で語られることもあるようだが、それほど「ソウル」や「R&B」くささは無い。そもそもコリーヌは英国出身で、今回も英国のリーズやマンチェスターで録音されたそうで、音の感触は「ブリティッシュ」的。内容は”素晴らしい”のひとこと。世間の評判もいいようだ。「あの日の海」という邦題も秀逸。
February 14, 2010
DEAR GIRLS / FLiP
沖縄出身のガールズ・ロック・バンド「FLiP」のメジャー・デビュー・ミニ・アルバム(2月3日発売)。アメリカ・ツアーも好感触だったようで、今後が期待されるバンドだ。パワフルでハードなロック・サウンドは”ガールズ・バンド”という前提を忘れて聴くべし。冒頭の「Hey Hey Hey Hey」や4曲目の「かごめかごめ」は個人的にお気に入り。特に「Hey Hey Hey Hey」はイントロのリフがカッコよくて、ロック好きの血が騒ぐ。ディープ・パープルの「Strange Kind of Woman」を思わせるところがあるけれども、それもなかなかサマになっている。こういう骨太のロック・サウンドを演奏するバンドが沖縄出身と聞くと、1970年代に紫やらコンディション・グリーンやらがデビューした頃のことを思い出すな。
February 10, 2010
IRM / Charlotte Gainsbourg
シャルロット・ゲンズブールの3年ぶりの新作(1月27日発売)はなんとベックとのコラボ、というより、ベックが完全サポート。シャルロットをヴォーカルに迎えたベックの作品と言ってもいいほど。そしてこれが大成功。素晴らしい作品になっている。それにしても、シャルロットも今年で39歳になるのか、と、妙なところで感慨深い。
February 7, 2010
毛皮のマリーズ / 毛皮のマリーズ
毛皮のマリーズがついにメジャー・デビューだそうだ(メジャー・デビュー・アルバムは4月21日発売予定)。往年のロック・ファンとしてはそのバンド名に「裸のラリーズ」を連想してしまうわけだが、当然本人たちもそのつもりなのだろう。インディーズで圧倒的なカリスマ性を放つバンドがメジャー・デビューした途端にアクが抜けるというか、毒が抜けるというか、妙にお行儀の良い音になってしまうことも少なくないのだが、期待していいのか、毛皮のマリーズのメジャー・デビュー。
February 5, 2010
Battle Studies / John Mayer
2001年にメジャー・デビューしたアメリカのシンガー/ソングライター、ジョン・メイヤー。このところ、この人の歌声が妙に気にかかる。ギタリストとしても評価の高い人だけれども、シンガーとしても素晴らしい。「Battle Studies」は2009年11月に発表された彼の最新アルバム。輸入盤では入手可能だが国内盤の発売は未定のようだ。国内盤発売希望。
January 13, 2010
Love / Build An Ark
奇才カルロス・ニーニョ率いるBuild An Arkの3作目。2009年11月18日に発売されたもの。タイトルを見れば一目瞭然だが、「愛」と「祝福」をテーマにした作品のようだ。何とも美しく、荘厳ささえ感じさせる音楽性は感動的。いわゆる「スピリチュアル・ジャズ」と呼ばれる分野に属する音楽だが、あまり”ジャンル”に惑わされずに聴いてみるのがお勧めかもしれない。こんなことを言うと「スピリチュアル・ジャズ」のファンには怒られそうだが、往年の「プログレッシヴ・ロック」のファンの耳をくすぐるところがあるぞ。
January 8, 2010